危機遺産

武力紛争、自然災害、大規模工事、都市開発、観光開発、商業的密猟などによる環境破壊や地球温暖化などが原因で、遺産としての価値が失われそうになっている世界遺産のこと。
世界遺産委員会が、危機にさらされている自然遺産や文化遺産をリストアップし(危機遺産リスト)、管理者である政府などに対策をとることを勧告し、保護や復元措置を講じている。また、危機遺産リストに登録された場合には、国際的な協力を仰ぎ、ワールド・ヘリテジ・ファンド(世界遺産基金)からの財政的支援を瑞ソすることもできる。
危機遺産としてリストに挙がっている世界遺産は、例えば、急速な都市化によって危機に面しているエルサレムにあるエルサレム旧市街と城壁や、密猟や武力抗争などにより危機にさらされている、コンゴ民主共和国にあるガランバ国立公園、オカピ野生生物保護区など。また、エクアドル共和国のガラパゴス諸島は、観光客の増加によって生態系が変化し、2007年に危機遺産リストに登録されている。2009年6月現在では危機遺産リストに登録されている世界遺産は31件にのぼる。
また、重大な危機を脱した場合は、危機遺産リストから削除される。例えば、カンボジア王国にあるアンコール・ワットなど(クメール王朝の遺跡であるアンコール)は、内戦による破壊や略奪が相次ぎ、1992年に危機遺産リストに登録されたが、各国の積極的な修復支援が行われ、2004年には危機遺産リストから外されている。

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