最良執行方針

最良執行方針とは、証券取引において、証券会社が顧客である投資家の注文に対し、最も有利な条件で応じる義務のこと。株や債券などの有価証券は専門性が高く、発行者や証券会社が投資家よりも有利な立場になりやすい。しかし、投資家を保護することこそが資金の循環を生み出し、国民経済の良好な発展につながることから、証券取引法により、証券会社には最良執行方針をとることが義務付けられている。

そもそも、最良執行方針が必要になった背景としては、証券取引所外の取引市場が発達したことがある。複数の市場があり、同じ証券に異なる動きが出た場合、証券会社の裁量次第で投資家が実際に売り買いする値段が変わってくる。だが、もし投資家に最も有利ではない条件で証券会社が取引した場合、投資家の不利益になるばかりか市場間の競争も妨げられることとなる。そのため、最良執行方針が義務付けられた。

ただし、実際には証券会社の定義する「最良執行」とは、価格のみならず、コスト、スピード、執行可能性などのさまざまな要素を総合的に勘案し、最も良いと思われる手段をとることを指す。そのため、基準が曖昧であり、かつ投資家は契約時に証券会社の最良執行方針に同意していることから、たとえ投資家よりも証券会社に有利な条件であってもまかり通ってしまうという問題点もある。