2026年、新興市場は米ドル安の流れと継続的な資金流入を背景に、株式・債券ともに魅力的な投資機会を提供しています。野村証券の分析によれば、新興国株式は先進国株式を上回るパフォーマンスを続けており、IMFの見通しでも成長率は4.0%と先進国を上回る堅調さが予想されています。
この記事では、アジア、東欧、ラテンアメリカなど、注目すべき新興市場について詳しく解説し、具体的な投資機会をご紹介します。
新興国市場が強い4つの理由
1. 米ドル安による追い風
米ドル安は新興国にとって複数のメリットをもたらしています。外貨建て債務の負担が軽減されるだけでなく、海外投資家による現地通貨建て投資も促進されます。BIS(国際決済銀行)の分析でも、新興国の資金調達における現地通貨の比率が高まっており、通貨上昇による利益を狙った資金流入が増えています。
2. 安定的な資金流入
国際金融協会(IIF)のデータによると、2025年10月時点で新興国への証券投資は6ヶ月連続で流入超過となっており、特に債券市場が活発です。FRBの利下げ予想(年央に3%のターミナルレート)と連動して、アジアへの資本移動が加速しています。
EPFR(エマージング・ポートフォリオ・ファンド・リサーチ)のファンドフローデータでは、新興国株式への純流入が2025年9月以降加速し、債券は6月から増加傾向にあります。
3. 経済ショックへの耐性向上
IMFによれば、インフレ目標の設定や財政規律の導入により、新興国のファンダメンタルズは2013年と比べて大きく改善しています。外貨準備のGDP比率も強化され、経済ショックに対する抵抗力が高まっています。
新興国のGDPシェアは42%(2024年IMF統計)と先進国を上回っていますが、投資シェアは10%弱にとどまっており、この乖離が是正される動きが見られます。
4. 割安な資産評価
予想PER(株価収益率)や購買力平価で見ると、東欧やアフリカの株式、東南アジアの通貨が割安な水準にあります。グローバル投資家の米国集中が見直される中、成長率の格差(新興国4.0% vs 先進国1.6%)が資金流入を後押ししています。
Franklin Templetonは「新興国市場の債券・株式が市場を牽引する」と予測し、米ドル安基調の継続を指摘しています。
地域別の投資機会
アジア:最大の投資機会
アジアは2026年の最大の投資機会地域と言えます。中国経済の安定化とインド経済の回復が相乗効果を生んでいます。
インド:消費とインフラが牽引
インドは回復の兆しを見せています。2026年の成長率は上方修正される見通しで、国債は高い実質利回りと財政健全化により需要が高まっています。テクノロジーセクターは米ドル安の恩恵を受け、輸出依存度の低下により安定性が増しています。IMFの成長見通しは4.2%超で、消費関連株が特に注目されています。
投資のポイント:
- 消費セクター:国内需要の拡大により、小売や日用品(FMCG)関連の株式
- インフラ債券:財政政策の支援による高利回り債券
インドネシア・フィリピン:債券市場の有望地域
インドネシアとフィリピンは魅力的な実質利回りを提供しています。インフレの落ち着きと財政改善により、国債需要は堅調です。東南アジア通貨は購買力平価で見て割安感があり、通貨投資の面でも魅力的です。
フィリピンは年初来の株価が低調でしたが、2026年には反転が予想されています。ASEAN全体では、貿易環境の改善とマクロ経済の好調により、債券市場にポジティブな見通しが立っています。
中国・韓国:AIと改革が加速
中国はAIの導入と国内消費の拡大により、新興国の中でトップクラスの注目度です。貯蓄率は高止まりしていますが、不動産改革により信認が回復しつつあります。韓国は改革が加速しており、年初来で株価が上昇しています。
シンガポールは金融緩和を継続しており、国債市場は堅調です。アジアの債券市場全体で財政政策が主役となっており、成長が鈍化しても需給は良好な状態が続いています。
Amova-AMの見通しでは、アジア株式に対してポジティブで、中国のAI・ヘルスケア、インドの消費回復、シンガポールの富裕層向けサービスが主要テーマとして挙げられています。
東欧:割安で好調なパフォーマンス
東欧は年初来でトップクラスのパフォーマンスを記録しています。チェコや韓国に続き、株価の上昇率が高く、欧州新興国株式のPERの割安感が魅力となっています。
チェコは自国通貨ベースで株価が上昇しており、経済の耐性も強まっています。東欧全体では、米ドル安によりアウトパフォームする傾向があり、資金流入が続いています。
ロシアは低調ですが、地政学的な状況が安定すれば反発の余地があります。
SSGAの展望では、新興国にAI導入力と流動性という追い風があるとしており、投資家は東欧株式のETFで分散投資を図ることができます。
ラテンアメリカ:資源と債券の魅力
ラテンアメリカではチリの株価上昇が市場を牽引しており、年初来で好調なパフォーマンスを見せています。ブラジルは資源関連で、レアアース需要の増加が期待されています。エネルギーインフラへの投資は8.6%の成長を見せており、非住宅建築もブームとなっています。
投資のポイント:
- チリ:株価上昇、資源輸出の安定
- ブラジル:GX(グリーントランスフォーメーション)や重要鉱物関連の中小型株
Franklin Templetonは新興国債券を推奨しており、イールドカーブのスティープ化により高利回りが期待できるとしています。
アフリカ・中東:高リスク高リターン
アフリカ株式の割安感は際立っており、南アフリカはファンダメンタルズの改善により耐性が向上しています。トルコは米ドル安の例外的な動きを見せていますが、通貨建て投資では回復の可能性があります。エネルギーインフラの投資機会も大きいです。
投資のポイント:
- 南アフリカ:ファンダメンタルズの改善により債券への資金流入
- トルコ:政策次第でボラティリティが高いものの、回復余地あり
セクター別の投資機会
AI・テクノロジー
中国、インド、韓国など、AI導入に積極的な新興国が優位に立っています。韓国では改革が進み、AI・半導体セクターが注目されています。
資源・レアアース
ブラジルやロシアなど、資源国ではレアアース関連株が注目されています。日本政府も成長投資分野として位置づけており、資源安全保障の観点から中小型株にも機会があります。
インフラ・債券
エネルギーインフラは新興地域で8.6%の成長が見込まれています。インドネシアやフィリピンなど、高い実質利回りを提供するインフラ債券が魅力的です。
リスク管理と投資戦略
新興市場には地政学リスクや為替変動リスクが伴います。特に輸出主導型の国は、グローバル経済の減速により逆風を受ける可能性があります。以下のような分散投資が推奨されます。
投資のポイント
- ETFの活用:新興国全体または地域別のETFで分散投資
- ヘッジ戦略:サステナブル債券などでAI過熱への対策
- タイミング:FRBの利下げ局面でのエントリーを検討
State Streetはオルタナティブ投資によるインカムゲインと分散効果を推奨しています。
まとめ
2026年、新興市場は先進国との成長格差と米ドル安を背景に、ポートフォリオの多様化に最適な投資先となっています。インドの消費回復やアジア債券の高利回り、東欧株式の割安感など、地域ごとに異なる魅力があります。
投資を検討する際は、各国のファンダメンタルズを注意深く分析し、リスクを適切に管理しながら、長期的な視点で取り組むことが重要です。新興市場は変動が大きいため、分散投資とタイミングを意識した戦略が成功の鍵となるでしょう。

