2026年の不動産投資市場は、金利上昇や物件価格の高騰という課題を抱えながらも、戸建賃貸の台頭や税制改正による中古住宅への追い風など、新たな投資機会が生まれています。健美家やLIFULLの最新調査データをもとに、2026年の不動産投資トレンドと注目すべきポイントを解説します。
2026年不動産投資を取り巻く環境
2025年は金利上昇や物件価格の高騰など、不動産投資市場にとって大きな転換点となりました。しかし、投資家は市況の変化に合わせて柔軟に戦略を修正しており、2026年は新たな投資の好機が訪れています。
2026年不動産投資の5大トレンド
健美家とLIFULLが実施した複数の調査データから、2026年の不動産投資市場における主要なトレンドが明らかになっています。
トレンド1:戸建賃貸が投資の太い柱へ
金融機関の融資姿勢の厳格化と物件価格の高騰を受け、投資対象をダウンサイジングする動きが加速しています。従来の王道とされてきた「一棟アパート」から、現金や少額融資で購入可能な「戸建賃貸」へと投資家の関心が移っています。
健美家の調査によると、2024年10月以降に実際に購入された物件種別では、戸建賃貸が43.4%に達し、2025年4月時点の36.0%から7.4ポイント急増しました。これは一棟アパート(48.4%)に迫る水準です。
市場の熱量を示すデータも注目に値します。健美家の戸建物件の登録数・問い合わせ数を2024年と2025年(1-11月)で比較すると、登録物件数は約24.6%増加しています。特筆すべきは、その供給増を上回るペースで問い合わせが増加している点です。登録数に対する反響数の割合を示す「反響率」は、前年比で約4.0%上昇しました。
年収500万円未満の層では「一棟ものから、融資が不要な(または少額の)戸建・区分にシフトした」との回答が13.7%に上っており、これは全体平均(7.4%)の約2倍です。資金力や融資枠に限りがある層が特に、現実的な選択肢として戸建へシフトしている様子がうかがえます。
トレンド2:「インカム」より「キャピタル」重視
健美家の「収益物件 市場動向マンスリーレポート(2025年11月期)」によると、投資用区分マンション・一棟アパート・一棟マンションの全種別で、直近12年間の最高値を更新しました。特に区分マンションの価格は前月比+10.57%と急騰しています。
利回り面では、一棟系(アパート・マンション)は価格上昇に伴い低下傾向にある一方、区分マンションは6%台後半で横ばいを維持していますが、いずれも過去と比較して低水準です。
この状況下で、高利回りよりも、インフレヘッジとしての「資産価値(値崩れしにくさ)」を優先する投資家が増えています。特に高所得層の間で、都心の資産価値を重視する傾向が強まっています。
トレンド3:賃上げトレンドの継続
2025年は全国的に賃料の上昇傾向が続きました。LIFULLのマーケットレポート(2025年総括版)によると、東京23区のファミリー向け賃貸物件では、2024年12月の217,709円から2025年12月の248,669円へと1年で14.2%上昇しています。
大阪市では、2024年12月の122,875円から2025年12月の146,091円へと1年で18.9%上昇し、東京23区の上昇率を上回りました。特に福岡市の掲載賃料は、シングル向きが1年で+23.1%、ファミリー向きが1年で+19.4%と、東京23区や大阪市を上回る高い上昇率を示しています。
2025年には既築物件でも入居者募集を機に募集賃料を値上げする動きが活発化し、ストック全体で賃料改定が進みました。固定資産税・都市計画税、修繕・メンテナンス費用、金利負担の増加など賃貸経営に関わるコストが大きくなっているほか、都心部を中心に賃料改定を行いやすい定期借家契約も増加しており、賃料の上昇局面は2026年も継続すると想定されます。
トレンド4:AIを戦略参謀にする大家の増加
物件選定や入居者管理にAIツールを活用する大家が増加しています。市場予測の精度向上やリスク低減に、AI技術の活用が広がりつつあります。
トレンド5:プレイヤーの新陳代謝と参入の好機
市場環境の変化により、一部の投資家が市場から退出する一方で、新規参入のチャンスも生まれています。柔軟な戦略で対応できる投資家にとって、機会が広がっている状況です。
2026年税制改正:中古住宅への大きな追い風
2025年12月に公表された令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、住宅ローン控除の5年延長(2030年12月31日まで)とともに、中古住宅への優遇措置が大幅に拡充されることが決定しました。
中古住宅の控除期間延長
これまで中古住宅の住宅ローン控除期間は10年間でしたが、2026年以降は省エネ性能の高い中古住宅について、新築住宅と同様の13年間に延長されます。これにより、中古住宅の最大控除額は大幅に増額される見込みです。
借入限度額の引き上げ
省エネ性能の高い中古住宅については、借入限度額も引き上げられます。特にZEH水準以上の次世代省エネ基準を満たす住宅が対象となります。購入後に省エネ改修を行い、基準を満たせば借入限度額の引き上げが適用される点も注目です。
床面積要件の緩和
従来は原則「50㎡以上」だった床面積要件が「40㎡以上」に緩和されます(所得1,000万円以下の場合)。これにより、都市部のコンパクトマンションも住宅ローン控除の対象となりやすくなり、投資対象の幅が広がります。
子育て世帯への上乗せ措置
19歳未満の子を有する子育て世帯や、夫婦のいずれかが40歳未満の若年夫婦世帯には、借入限度額の上乗せ措置が適用されます。
物件種別ごとの投資ポイント
戸建賃貸投資のポイント
戸建賃貸は2026年の注目株です。主な魅力は以下の点です:
- 少額から始められる:現金購入や少額融資で投資可能
- ファミリー需要が安定:空室リスクが比較的低い
- 修繕費が抑えやすい:区分マンションと比較して管理費負担が少ない
- 金利影響が小さい:借入額が少ないため金利上昇の影響を受けにくい
健美家の調査では、一棟アパートに迫る43.4%の購入シェアを獲得しており、初心者から経験者まで幅広い投資家に支持されています。
都心区分マンション投資のポイント
区分マンションは資産防衛の定番として人気です。特に以下の特徴があります:
- 価格上昇が続く:東京23区を中心に価格が高騰しており、キャピタルゲイン(売却益)も期待できる
- インフレヘッジ:物価上昇局面で資産価値が維持されやすい
- 流動性が高い:売却時の買い手が見つかりやすい
利回りは6%台後半と低めですが、価格上昇によるトータルリターンが期待できます。
中古物件リノベーション投資のポイント
2026年度の税制改正により、中古住宅を購入してリノベーションする投資戦略が非常に有利になります:
- 住宅ローン控除の拡充:省エネリノベーションを行えば、新築並みの控除が受けられる
- 新築より経済的:建築費高騰が続く中、中古+リノベは新築より割安
- 補助金の活用:省エネ改修に対する支援策も手厚い
投資エリア選定のポイント
首都圏
健美家の調査によると、購入エリアは「東京・神奈川・千葉・埼玉」の首都圏が39.9%を占めており、依然として首都圏への投資が根強い人気を保っています。
特に東京23区では賃料の上昇が顕著で、シングル向き物件は前年同月比11.5%増の106,174円、ファミリー向き物件は同13.1%増の222,603円となり、いずれも過去最高水準を更新しました。
関西圏
大阪市を中心に賃料上昇率が高く、東京23区を上回る18.9%の上昇を記録。万博開催を控え、今後の発展が期待されるエリアです。
九州圏
福岡市は賃料上昇率が全国トップクラスで、シングル向き+23.1%、ファミリー向き+19.4%と非常に高い伸びを示しています。人口増加と経済発展が続いており、投資先として注目されています。
リスク管理のポイント
金利上昇への対応
日本銀行が2025年12月に利上げを決定し、住宅ローン金利の上昇が見込まれています。変動金利のリスクを考慮し、固定金利も検討すべきタイミングです。
修繕費の増加に備える
建築資材物価指数(東京)の建築補修部門は2015年比で38.7%上昇しており、修繕費の増加が続いています。長期修繕計画を立て、従来より多めに積立を設定することが安全策です。
空室リスクへの対応
賃料上昇が続く一方で、入居者の選好は変化しています。駅近、設備充実、インターネット無料など、入居者が重視する条件を満たす物件選びが重要です。
2026年の投資戦略
初心者向け:少額から始める戸建賃貸
資金力に限りがある投資家は、戸建賃貸から始めることをおすすめします。現金購入や少額融資で始められ、空室リスクも比較的低いため、初心者に適しています。
中級者向け:区分マンションでの資産形成
ある程度の資金がある投資家は、都心の区分マンションで資産価値重視の投資を検討できます。利回りは低めですが、価格上昇によるキャピタルゲインが期待できます。
上級者向け:中古リノベーション戦略
税制改正を最大限活用し、中古物件を購入して省エネリノベーションを行う戦略が有効です。住宅ローン控除の拡充と補助金を組み合わせることで、高い投資効率が期待できます。
まとめ
2026年の不動産投資市場は、金利上昇や物件価格高騰という逆風がある一方で、税制改正による追い風や新たな投資機会も生まれています。
特に注目すべきは:
- 戸建賃貸への投資家シフトが本格化
- 中古住宅への税制優遇措置が大幅拡充
- 都市部を中心に賃料上昇トレンドが継続
- 省エネ性能の高い物件への優遇強化
健美家の調査結果が示すように、投資家は市況の変化に対して冷静かつ柔軟に戦略を修正しています。投資対象を戸建賃貸へ広げる動き、収益性を守るための賃上げ、AIという新しい技術の活用など、既存のやり方に固執せず新しい解を模索する姿勢が、2026年を生き抜く鍵となります。
環境は変化し続けますが、それに合わせて戦略を変えれば、チャンスは依然として存在します。正確なデータに基づく判断と柔軟な戦略で、2026年の不動産投資を成功させましょう。
参考文献・引用元
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- 株式会社LIFULL (2025年12月23日). “2026年 不動産投資トレンド予測 ~データで読み解く、投資家の戦略変化と新たな潮流~ | プレスリリース”. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000788.000033058.html
- JLL (2026年2月). “2025年の日本不動産投資市場動向の展望と2024年の振り返り”. https://www.jll.com/ja-jp/insights/review-of-and-outlook-for-the-japan-real-estate-investment-market
- LIFULL HOME’S 不動産投資 (2025年12月15日). “2025年も賃料上昇が継続中!入居者が重視する物件の条件とは?”. https://toushi.homes.co.jp/column/research/market_trend/market35/
- LIFULL HOME’S 不動産投資 (2025年8月2日). “【2025年最新】気になる不動産投資家の動向と最新市況解説”. https://toushi.homes.co.jp/column/research/market_trend/market08/
- LIFULL HOME’S 不動産投資 (2025年10月6日). “不動産投資の平均利回りとは?エリア・築年数・物件種別ごとに徹底比較!”. https://toushi.homes.co.jp/column/research/regional_market/market20/
- LIFULL HOME’S 不動産投資 (2025年8月2日). “住宅系収益不動産の価格上昇が顕著に ――2025年6月期「収益物件市場動向マンスリーレポート」を読み解く”. https://toushi.homes.co.jp/column/research/market_trend/market02/
- LIFULL HOME’S 不動産投資 (2025年11月7日). “【2025年】収益物件の最新情報|全種別で価格・利回り共に上昇”. https://toushi.homes.co.jp/column/research/market_trend/market29/
- 株式会社LIFULL (2026年1月). “LIFULL HOME’Sマーケットレポート 2025年総括版”. https://lifull.com/news/46360/
- 不動産投資ニュース. “首都圏賃貸市場、掲載賃料が過去最高を更新—LIFULL HOME’Sが調査”. https://www.fudosantoushi.net/news/view/006337
- はじめての住宅ローン (2025年12月26日). “2026年度税制改正で住宅購入はどう変わる?住宅ローン減税まとめ”. https://finance.recruit.co.jp/article/n243/
- 山田&パートナーズ. “2026年度(令和8年度) 税制改正速報 住宅ローン控除の延長と見直し”. https://www.yamada-partners.jp/hubfs/zeikai/2026/k02.pdf?hsLang=ja-jp
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- 日本GLホームズ (2025年12月). “住宅ローン減税の行方~2026年度税制改正~”. https://www.j-anshin.co.jp/column/shinchiku/housing-loan-tax-2026
- LIFULL HOME’S (2026年1月). “【ホームズ】2026年度税制改正で住宅ローン減税はどう変わる? 中古住宅の優遇拡充と新築の制限を専門家が解説”. https://www.homes.co.jp/cont/buy_kodate/buy_kodate_00950/
- センチュリー21ジェイワンホームズ. “中古住宅の住宅ローン減税が大幅拡充!2026年は売却のチャンス”. https://www.j1homes.jp/column/18321.html
- 中古住宅のミカタ (2026年1月5日). “新築同等まで拡充!2026年度住宅ローン減税で「中古住宅」が優位に!? 改正の内容と手続き・必要書類を解説”. https://www.chuko-mikata.jp/money/18mortgage-deduction2026/
- 株式会社 住宅日和 (2025年12月26日). “【2026年】住宅ローン控除はどうなる?変更点や注意点を専門家が解説”. https://j-hiyori.com/blog/6282/
※本記事は2026年2月時点の情報に基づいて作成されています。投資判断は各自の責任において行ってください。不動産投資にはリスクが伴いますので、専門家への相談をおすすめします。

