最終更新: 2026年10月06日
「iDeCoを始めたら年末調整でいくら戻るのか」「最後に受け取るときの税金で得が消えないか」を事前にシミュレーションしたい人は多いはずです。この記事では、2026年度(令和8年度)時点の国税庁・iDeCo公式サイトの公表情報をもとに、掛金の所得控除による節税額、運用益非課税の効果、受取時の税金、手数料の影響までを一つの流れで計算し、早見表と計算例3パターンで示します。
この記事の結論
- 節税額の目安は年間掛金×(所得税率+住民税10%)
- 税率10%で月2.3万円なら年55,200円、20年で約110万円
- 受取時は退職所得控除・公的年金等控除の範囲を意識
この記事の目次
- iDeCoシミュレーションの結論:節税・運用・受取の3段階で考える
- iDeCoシミュレーションの計算式と公的パラメータ
- iDeCoシミュレーション早見表:税率×掛金別の節税額
- iDeCoシミュレーションの計算例3パターン(入口から出口まで)
- iDeCoシミュレーションの注意点:出口の税金と手数料
- iDeCoシミュレーションのまとめ
- よくある質問
- 出典・参考資料
iDeCoシミュレーションの結論:節税・運用・受取の3段階で考える
iDeCoの税制メリットは「掛金が全額所得控除」「運用益が非課税で再投資」「受取時に退職所得控除または公的年金等控除の対象」の3つです。iDeCo公式サイトは、毎月1万円の掛金で所得税10%・住民税10%なら年2.4万円税金が軽減されるという例を示しています。シミュレーションでは、入口の節税額だけでなく、出口でかかる税金と手数料も差し引いて考えることが大切です。
国民年金基金連合会のiDeCo公式サイトには、職業・年収・年齢・掛金を入力して3つのメリットを試算できる「かんたん実感!iDeCoシミュレーション」があります。この記事の計算式を理解しておくと、公式シミュレーションの結果も読み解きやすくなります。
出典: かんたん実感!iDeCoシミュレーション、iDeCoのメリット
iDeCoシミュレーションの計算式と公的パラメータ
掛金は小規模企業共済等掛金控除として、その年に支払った全額が所得から差し引かれます。会社員は年末調整、自営業者などは確定申告で手続きします。節税額は「年間掛金×(所得税率+住民税10%)」が目安で、所得税率は課税所得に応じて5〜45%です。住民税の所得割は道府県民税4%と市町村民税6%の合計10%です。
運用益については、通常の金融商品なら源泉分離課税20.315%がかかりますが、iDeCoでは非課税で再投資されます。積立金にかかる特別法人税(年1.173%)は現在課税が停止されています。受取時は、一時金なら退職所得、年金なら公的年金等の雑所得として扱われます。
| 段階 | 項目 | 数値・式 |
|---|---|---|
| 拠出時 | 節税額の目安 | 年間掛金×(所得税率+住民税10%) |
| 拠出時 | 所得税率 | 5〜45%(課税所得による7段階) |
| 運用時 | 通常口座の運用益課税 | 20.315%(iDeCoは非課税) |
| 受取時(一時金) | 退職所得控除 | 20年以下40万円×年数/20年超800万円+70万円×(年数−20年) |
| 受取時(一時金) | 退職所得の金額 | (収入−退職所得控除)×1/2 |
| 受取時(年金・65歳以上) | 公的年金等の収入110万円以下 | 雑所得0円(他の所得1,000万円以下) |
| 手数料 | 国民年金基金連合会 | 加入時2,829円、掛金納付ごとに105円 |
出典: iDeCoのメリット、よくあるご質問(手数料について)、No.2260 所得税の税率、No.1135 小規模企業共済等掛金控除、No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)、No.1600 公的年金等の課税関係、地方税制度|個人住民税
iDeCoシミュレーション早見表:税率×掛金別の節税額
所得税率と住民税を合わせた軽減率ごとに、掛金額別の年間節税額と、月2.3万円を20年続けた場合の累計をまとめました。月2.3万円は企業年金のない会社員の現行上限で、2026年12月拠出分からは月6.2万円まで引き上げられます。所得控除によって課税所得が下の税率区分にまたがる場合、実際の節税額は表より小さくなります。
改正後の上限である月6.2万円(年74.4万円)で試算すると、軽減率20%なら年148,800円、30%なら年223,200円です。掛金が大きいほど節税額は増えますが、控除で課税所得が下がるほど適用される税率も下がる点に注意してください。課税所得が195万円前後や330万円前後の人は、控除後にどの税率区分に入るかを国税庁の速算表で確かめると精度が上がります。
| 所得税+住民税 | 月5,000円 | 月1万円 | 月2.3万円 | 月2.3万円×20年 |
|---|---|---|---|---|
| 15%(所得税5%) | 9,000円 | 18,000円 | 41,400円 | 828,000円 |
| 20%(所得税10%) | 12,000円 | 24,000円 | 55,200円 | 1,104,000円 |
| 30%(所得税20%) | 18,000円 | 36,000円 | 82,800円 | 1,656,000円 |
| 33%(所得税23%) | 19,800円 | 39,600円 | 91,080円 | 1,821,600円 |
| 43%(所得税33%) | 25,800円 | 51,600円 | 118,680円 | 2,373,600円 |
出典: iDeCoのメリット、No.2260 所得税の税率、地方税制度|個人住民税、2025年の制度改正
iDeCoシミュレーションの計算例3パターン(入口から出口まで)
3つの例はいずれも20年間拠出し、運用利回り年3%(月複利)と仮定しました。利回りは説明用の仮定で、実際の運用成果は商品や市場環境で変わり、元本を下回ることもあります。Bは運営管理機関等の手数料を月400円と仮定し、A・Cは国民年金基金連合会の手数料のみで計算しています。受取は60歳で一時金とし、退職所得控除の勤続年数を20年(800万円)、他の退職金はないものとしました。
Bのように税率5%で掛金が少ない場合、20年の節税額36万円に対して手数料が約12.4万円となり、節税効果の3分の1程度を占めます。Cは改正後上限の月6.2万円を拠出する想定で、一時金が退職所得控除を大きく超えるため、受取時に所得税が約81万円(復興特別所得税・住民税は別途)かかる計算です。
| 項目 | A 税率10%・月2.3万円 | B 税率5%・月1万円 | C 税率20%・月6.2万円 |
|---|---|---|---|
| 20年の節税額 | 55,200円×20=1,104,000円 | 18,000円×20=360,000円 | 223,200円×20=4,464,000円 |
| 積立元本 | 552万円 | 240万円 | 1,488万円 |
| 運用後の資産(仮定) | 約757万円 | 約329万円 | 約2,041万円 |
| 非課税となった運用益 | 約205万円(課税なら約41.6万円) | 約89万円(課税なら約18.1万円) | 約553万円(課税なら約112万円) |
| 20年の手数料 | 約2.8万円 | 約12.4万円 | 約2.8万円 |
| 一時金受取時の所得税 | 0円(800万円以内) | 0円(800万円以内) | 約81万円 |
出典: iDeCoのメリット、よくあるご質問(手数料について)、No.2260 所得税の税率、No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
iDeCoシミュレーションの注意点:出口の税金と手数料
一時金で受け取る場合、退職所得控除は会社の退職金と枠を分け合う形になることがあります。令和7年度(2025年度)税制改正により、2026年(令和8年)1月1日以後に受け取るiDeCoなどの老齢一時金の後に退職金を受け取る場合、退職所得控除の重複期間を調整する対象が「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に広がりました。受取の順番と間隔も試算に含めましょう。
年金で受け取る場合は5年以上20年以下の有期年金が基本で、公的年金と合算して公的年金等控除が適用されます。65歳以上で他の所得が1,000万円以下なら、公的年金等の収入が年110万円以下までは雑所得が0円、65歳未満は60万円以下までが0円です。老齢年金と合わせると控除枠を超えやすいため、一時金との併用も含めて比較すると判断しやすくなります。
- 掛金は原則60歳まで引き出せない
- 所得税・住民税がかからない人は所得控除の効果がない
- 運営管理機関・事務委託先金融機関の手数料は機関ごとに異なる
- 運用商品によっては信託報酬などの費用がかかる
出典: よくあるご質問(手数料について)、iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等、No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)、No.1600 公的年金等の課税関係、令和8年版 源泉徴収のあらまし 税制改正等の内容(PDF)
iDeCoシミュレーションのまとめ
iDeCoの節税額は「年間掛金×(所得税率+住民税10%)」でおおよそ試算でき、税率10%・月2.3万円なら年55,200円です。ただし、出口では退職所得控除や公的年金等控除の範囲を超えると課税され、手数料も毎月かかります。入口・運用・出口・手数料をそろえて試算し、iDeCo公式サイトのシミュレーションで自分の条件も確認しておきましょう。
出典: かんたん実感!iDeCoシミュレーション、iDeCoのメリット、No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)、No.1600 公的年金等の課税関係
よくある質問
Q. iDeCoは年末調整でいくら戻りますか?
A. 会社員が年末調整で戻るのは所得税分で、目安は年間掛金×所得税率です。たとえば月2.3万円(年27.6万円)で所得税率10%なら約2.8万円です。住民税分(年間掛金×10%)は翌年度の住民税が軽くなる形で反映されます。
Q. イデコのシミュレーションは公式サイトでできますか?
A. できます。iDeCo公式サイトの「かんたん実感!iDeCoシミュレーション」で、職業・年収・年齢・毎月の掛金を入力すると、iDeCoの3つの税制メリットを試算できます。試算はあくまで目安なので、手数料や受取時の税金も合わせて確認しましょう。
Q. 受け取るときに税金で損をすることはありますか?
A. 一時金が退職所得控除を、年金が公的年金等控除の範囲を超えると課税されます。会社の退職金と受け取る時期が近い場合は控除枠が調整されることもあるため、受取方法と順番を含めて試算することが大切です。拠出時の節税額と比べて判断しましょう。
Q. 専業主婦(夫)がiDeCoをシミュレーションすると節税額は?
A. 所得税・住民税がかからない人は、掛金の所得控除による節税効果がありません。その場合のメリットは運用益の非課税と受取時の控除が中心になるため、手数料を差し引いても続ける価値があるかを試算して判断しましょう。
Q. 手数料は節税額にどのくらい影響しますか?
A. 国民年金基金連合会の手数料は掛金納付ごとに105円(年1,260円)で、加入時に2,829円かかります。運営管理機関の手数料は機関で異なります。掛金が少なく税率が低い人ほど、節税額に占める手数料の割合が大きくなります。
出典・参考資料
- かんたん実感!iDeCoシミュレーション(国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)、2026-10-06閲覧)
- iDeCoのメリット(国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)、2026-10-06閲覧)
- よくあるご質問(手数料について)(国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)、2026-10-06閲覧)
- iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等(国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)、2026-10-06閲覧)
- No.2260 所得税の税率(国税庁、2026-10-06閲覧)
- No.1135 小規模企業共済等掛金控除(国税庁、2026-10-06閲覧)
- No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(国税庁、2026-10-06閲覧)
- No.1600 公的年金等の課税関係(国税庁、2026-10-06閲覧)
- 令和8年版 源泉徴収のあらまし 税制改正等の内容(PDF)(国税庁、2026-10-06閲覧)
- 地方税制度|個人住民税(総務省、2026-10-06閲覧)
- 2025年の制度改正(厚生労働省、2026-10-06閲覧)
本記事は制度・商品の一般的な情報を、記載日時点の公的機関・事業者の公開資料に基づいてまとめたものです。税務・年金・保険・投資の個別の判断は、税理士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー等の専門家、または所管の窓口にご確認ください。金融商品の価値は変動し、元本を割り込むことがあります。









