日経平均株価は、ふだん「円」で報じられます。しかし同じ株価でも、どの通貨で測るかによって「上がった量」はまったく違って見えます。円安が進んだ期間は、円建ての上昇の一部が「円の価値が下がった分」に置き換わるためです。
今回は日経平均をユーロ建てに換算し、1年前・5年前・10年前・30年前の水準と並べて比較しました。なお30年前にあたる1996年はユーロがまだ存在しない時期のため、ユーロ建ての比較対象からは外しています(理由は記事後半で解説します)。

各時点の数値一覧
| 時点 | 日経平均(円建て) | ユーロ円レート | 日経平均(ユーロ建て) | 円建て変化率 (→直近) | ユーロ建て変化率 (→直近) |
|---|---|---|---|---|---|
| 直近 2026年8月26日 | 66,262.16 円 | 185.62 円 | 356.98 EUR | 基準 | 基準 |
| 1年前 2025年8月27日 | 42,520.27 円 | 171.63 円 | 247.74 EUR | +55.8% | +44.1% |
| 5年前 2021年8月27日 | 27,641.14 円 | 129.59 円 | 213.30 EUR | +139.7% | +67.4% |
| 10年前 2016年8月26日 | 16,360.71 円 | 113.33 円 | 144.36 EUR | +305.0% | +147.3% |
| 30年前 1996年8月27日 | 20,910.27 円 | —(ユーロ未導入) | 対象外 ※ECU換算参考値 150.59 | +216.9% | 対象外 |
円建てとユーロ建てで、上昇幅はここまで違う
もっとも差が開いたのは5年前(2021年8月)との比較です。円建てでは27,641円から66,262円へと+139.7%、つまり2.4倍近くになりました。ところがユーロ建てで見ると213.30 EURから356.98 EURへの+67.4%にとどまります。
理由は為替です。この5年でユーロ円は129.59円から185.62円へと、約43%も円安ユーロ高が進みました。円建ての上昇のうち、かなりの部分が「円の価値の目減り」に対応していたことになります。
10年前(2016年8月)との比較も同じ構図です。円建ては16,360円から66,262円へ+305.0%と約4倍ですが、ユーロ建てでは144.36 EURから356.98 EURへの+147.3%、およそ2.5倍です。「4倍」と「2.5倍」——どちらも同じ株価の話ですが、ものさしを替えるだけで印象は大きく変わります。
一方、直近1年は円建て+55.8%に対してユーロ建て+44.1%と、差は比較的小さめです。この1年のユーロ円の変動が171.63円→185.62円(約8%の円安)と、5年・10年のスパンに比べて緩やかだったためです。つまり足元の上昇は、為替要因よりも株価そのものの上昇による部分が大きかったと読み取れます。
なぜ30年前はユーロで比較できないのか
ユーロは、通貨としての歴史がまだ30年に満たない、比較的新しい通貨です。
- 1999年1月1日:ユーロが「決済・会計上の通貨」として導入(この時点では紙幣・硬貨は存在しない)
- 2002年1月1日:ユーロ紙幣・硬貨の流通が開始し、各国通貨からの切り替えが本格化
したがって30年前にあたる1996年8月にはユーロが存在せず、当時のユーロ円レートというものもありません。当時のドイツはマルク、フランスはフランを使っていました。存在しないレートで換算した数値は実在のデータではないため、本記事では「対象外」として空欄にしています。
ただし参考情報として、ユーロの前身にあたるECU(European Currency Unit/欧州通貨単位)による換算値を併記しました。ECUは欧州各国通貨のバスケット単位で、1999年のユーロ導入時に1 ECU=1ユーロの比率で置き換えられています。欧州委員会の会計レート(1996年8月:1 ECU=138.857円)を使うと、当時の日経平均20,910.27円は約150.59 ECUに相当し、直近の356.98 EURはその約2.4倍という計算になります。
もっともこれは月次の会計用レートを用いた参考値であり、日次の市場レートで算出した他の時点とは性質が異なります。あくまで「おおよその目安」としてご覧ください。
なお円建てで見れば1996年とも比較可能で、当時の20,910円から直近66,262円へ+216.9%です。ちなみに10年前(2016年)の16,360円は1996年の水準を下回っており、日経平均が長期にわたり低迷していた時期があったことが読み取れます。
外貨建てで見ることの意味
外貨建ての株価指数は、海外の投資家から日本株がどう見えているかを知る手がかりになります。ユーロ圏の投資家が日本株を買う場合、その損益は「株価の変動」と「為替の変動」の両方で決まるからです。円安が進めば、円建ての株価が上がっても、ユーロに戻したときの増え方は目減りします。
また、海外資産や輸入品と比べたときの購買力を考えるうえでも参考になります。円建ての資産評価額が増えていても、海外のモノやサービスに対する購買力が同じだけ増えているとは限りません。
データの出典と算出方法
- 日経平均株価:Yahoo Finance chart API(銘柄コード ^N225)の日次終値
- ユーロ円レート:欧州中央銀行(ECB)参照レート(Frankfurter API 経由で取得)
- 1996年のECU/円:欧州委員会 InforEuro の月次会計レート(1996年8月分)
- 各時点は、比較対象日(8月27日)に最も近い直近の営業日データを使用しています
- 直近値は、記事作成時点で東京市場の取引が継続中だったため、確定済みの最終終値である2026年8月26日の水準を採用しました
数値は取得時点のものです。指数値・為替レートはデータ提供元による事後の修正が行われる場合があります。
ご注意
本記事は公表データをもとにした統計・図解の紹介であり、特定の金融商品の売買や投資判断を推奨するものではありません。過去の推移は将来の値動きを保証しません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。









