出向

企業に属する社員が、企業と雇用関係を結んだまま、別の企業の指揮系統下で事業に従事することで、労働契約の一部は出向先の企業に移転する。子会社、関連会社、提携会社などの間で出向が実施される。長期出張、社外勤務、応援派遣、休職派遣なども出向の一形態とされている。
出向を厳密に定義した法律はないが、派遣や転籍とは区別されている。出向では出向先に指揮命令権と労働契約の一部が移転するが、派遣では派遣先に指揮命令権のみが移転し、労働契約は派遣元にある。転籍では転籍先に労働契約の全部と指揮命令権の両方が移転する。
社員が出向に同意する場合、個別的同意と包括的同意がある。個別的同意は、出向するごとに企業から社員に条件を提示して、社員が同意するものであるのに対し、包括的同意は就業規則や労働規約であらかじめ出向する可柏ｫがあることが記されており、同意のもとで雇用関係を結んでいるというもので、個別の同意を得なくても、企業が社員を出向させることができるというものとなっている。