2010年

2010年の世界経済は、依然として失業率は高いものの、景気刺激策の効果もあり、緩やかに世界金融危機から回復しつつあった。特に中国やインドなどのアジアでは、内需を中心に景気が回復する動きが強く、金融面でもオーストラリア、インド、中国、マレーシアで政策金利が引き上げられた。中国は、名目GDPが日本を上回って世界2位の経済大国となり、また上海万博が開かれて世界での存在感を高めた。
一方、欧米では景気は下げ止まったものの回復は鈍く、依然として政策金利は低い水準で抑えられた。また、ギリシャやアイルランドの財政危機が明らかになったことから、他のヨーロッパ諸国の財政状況にも関心が集まるようになり、市場に新たな不安材料がもたらされることとなった。特に、スペインやポルトガルといった南欧の国々への懸念が強まった。
また、世界経済や米ドルへの不安が高まり、投資機会も増えたことから、安定資産とされる金の価格が高騰した。東京市場では5月に1グラム約3700円と、10年前の約4倍となる史上最高値をつけた。
日本では、6月に鳩山政権の目玉政策であった「子ども手当」が支給されたが、政治とカネの問題、米軍普天間基地移設問題で支持率が急落し、鳩山内閣は総辞職して、新たに菅直人政権が誕生した。しかし、7月の参議院選挙では与党の民主党は44議席を失う大敗となり、政治の混迷が強まった。経済面では、元国有企業だった日本航空が破綻した。円高の影響は相変わらず深刻であり、エコカー補助金や家電エコポイントといった景気刺激策にもかかわらず、10月期には内閣府が景気を「足踏み状態である」と下方修正することとなった。

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