日経平均株価は2026年8月26日の終値で66,262円と、歴史的な高値圏にあります。しかし「株価が上がった」と言うとき、それを測るものさし=通貨を円から変えると、見え方はかなり変わります。この記事では日経平均を英ポンド建てに換算し、1年前・5年前・10年前・30年前と並べて比較しました。
ポンド建て日経平均の比較チャート

数字で見る一覧表
| 時点 | 日付 | 日経平均(円) | 英ポンド円 | ポンド建て | 直近までの変化(円建て/ポンド建て) |
|---|---|---|---|---|---|
| 直近 | 2026年8月26日 | 66,262円 | 216.81円 | £305.6 | — |
| 1年前 | 2025年8月27日 | 42,520円 | 198.97円 | £213.7 | +55.8% / +43.0% |
| 5年前 | 2021年8月27日 | 27,641円 | 151.21円 | £182.8 | +139.7% / +67.2% |
| 10年前 | 2016年8月26日 | 16,361円 | 132.63円 | £123.4 | +305.0% / +147.8% |
| 30年前 | 1996年8月(月次平均) | 20,870円 | 166.98円 | £125.0 | +217.5% / +144.5% |
なぜ「ポンド建て」で見るのか
株価指数は、その国の通貨で表示されます。日経平均なら円建てです。ところが、円そのものの価値が他通貨に対して下がっていれば、円で測った株価が上がっても、海外の投資家から見た価値は同じだけ増えていないことになります。逆に円高が進めば、円建てでは横ばいでも、外貨建てでは値上がりして見えます。
比較対象としてドルを使う例はよく見かけますが、英ポンドにも見る価値があります。ロンドンは世界最大級の外国為替取引の拠点であり、英ポンドは長い歴史を持つ主要通貨のひとつです。英国の年金基金や保険会社といった機関投資家にとっては、ポンドこそが「自分の生活と負債の通貨」であり、日本株への投資成果もポンドで評価されます。また、ユーロと違ってポンドは今回の比較対象期間(直近〜30年前)を通じて一貫して存在しているため、30年スパンの長期比較にも使いやすい通貨です。
直近1年:円建て+55.8%、ポンド建て+43.0%
この1年で日経平均は42,520円から66,262円へと、円建てで+55.8%上昇しました。一方、英ポンド円は198.97円から216.81円へと約9%のポンド高・円安が進みました。その分だけ目減りするため、ポンド建てでの上昇率は+43.0%にとどまります。
それでも、通貨の影響を差し引いた後でなお4割を超える上昇です。この1年の日本株の値上がりは、単なる円安の裏返しでは説明しきれない部分が大きかった、と読むことができます。
5年前・10年前:伸びの半分近くが「通貨のものさし」の差
5年前(2021年8月27日)と比べると、円建ては+139.7%と2.4倍近くになっていますが、ポンド建てでは+67.2%です。10年前(2016年8月26日)との比較はさらに差が開き、円建て+305.0%(約4倍)に対し、ポンド建ては+147.8%(約2.5倍)となります。
この10年で英ポンド円は132.63円から216.81円へと動きました。1ポンドを買うのに必要な円が約1.6倍になった、つまり円の側から見ればポンドに対して4割近く価値が下がったということです。円建ての「4倍」という数字のうち、かなりの部分がこの通貨の変化によるものだと分かります。
30年前と10年前が、ポンドで見るとほぼ同じ水準
今回の比較でもっとも目を引くのが、30年前(1996年8月)の£125.0と、10年前(2016年8月)の£123.4がほぼ並んでいる点です。
円建てで見ると、この20年間で日経平均は20,870円から16,361円へと2割以上下落しています。ところがポンド建てではほぼ横ばいでした。理由は為替です。1996年8月の英ポンド円は166.98円、2016年8月は132.63円で、この間に円はポンドに対して大きく値上がりしていました。円建ての下落を、円高がちょうど打ち消した格好になります。
同じ「日本株の20年」でも、円で暮らす人と、ポンドで暮らす人とでは、まったく違う体験だったことになります。通貨というものさしを変えるだけで、歴史の見え方がここまで変わるという一例です。
計算方法とデータの出典
計算式はとてもシンプルです。
日経平均(ポンド建て)= 日経平均終値(円) ÷ 英ポンド円レート 例:直近 66,262.16 ÷ 216.81 = £305.6
- 日経平均株価:Yahoo Finance チャートAPI(^N225 の日足終値)
- 英ポンド円レート(1999年以降):Frankfurter API(欧州中央銀行の基準レートに基づく)
- 英ポンド円レート(1996年8月):IMF「国際金融統計(IFS)」の月次平均レートをDBnomics経由で取得し、日本の対ドルレート ÷ 英国の対ドルレート でクロスレートを算出
1996年8月については日次の為替データが得られないため、日経平均・為替レートとも当月の月次平均値を用いています。他の4時点は、いずれも該当日の終値・当日の基準レートです。直近については、記事作成日(2026年8月27日)時点で確定している最新営業日として2026年8月26日を採用しました。
まとめ
- 日経平均をポンド建てに直すと、直近は£305.6。1年前から+43.0%(円建ては+55.8%)。
- 10年前との比較では、円建て+305.0%に対しポンド建て+147.8%。伸びのおよそ半分は通貨の変化によるもの。
- 30年前(1996年8月)と10年前(2016年8月)は、ポンドで見るとほぼ同水準。円建てでは2割以上下落していた期間だが、円高がそれを打ち消していた。
「株価が上がった/下がった」という話は、どの通貨で測るかによって印象が大きく変わります。ニュースの数字を眺めるとき、そのものさしが何であるかを意識してみると、少し違う景色が見えてくるはずです。
※本記事は公開データをもとにした統計の図解紹介であり、特定の投資判断や金融商品の売買を推奨するものではありません。実際の投資にあたってはご自身の判断と責任でお願いします。過去の推移は将来の値動きを保証するものではありません。






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