最終更新: 2026年10月06日
「PERは15倍が目安」と聞くけれど、本当にそうなのか気になって調べている方も多いでしょう。PERは株価が利益の何倍まで買われているかを示す指標で、妥当な水準は市場や業種によって大きく異なります。この記事では、日本取引所グループが公表する2026年9月末の市場別・業種別PERを早見表にまとめ、「15倍」の根拠を長期データで検証したうえで、計算例と読み方の注意点を解説します。
この記事の結論
- 2026年9月末のプライム平均PERは単純18.9倍・加重20.6倍
- 15倍は過去の下限寄りで、業種や成長率により目安は変わる
- PERはPBR・ROE・利益成長率と併せて割高・割安を判断する
この記事の目次
- 結論:PERの目安は市場平均と業種平均で決める
- PERの計算式と東証統計の前提
- PERの目安早見表(市場別・規模別、2026年9月末)
- 業種別のPERの目安(プライム市場・加重平均)
- 「PER15倍が目安」を東証の長期データで検証
- PERの計算例3パターン
- PERの目安を使うときの注意点
- まとめ:PERの目安は平均との比較で使う
- よくある質問
- 出典・参考資料
結論:PERの目安は市場平均と業種平均で決める
PER(株価収益率)は株価を1株当たり当期純利益で割った値で、高いほど利益に比べて株価が割高、低いほど相対的に割安であることを示します。東証の統計では、2026年9月末のプライム市場のPERは単純平均18.9倍、時価総額で加重した加重平均20.6倍でした。「何倍なら割安」という固定の基準はなく、同じ市場・同じ業種の平均と比べるのが実用的な目安です。
業種別に見ると、プライム市場の加重平均PERは証券、商品先物取引業の10.6倍から電気機器の44.8倍まで幅があります。成長期待が大きい業種ほどPERは高くなりやすいため、異なる業種の銘柄をPERだけで並べて比べるのは避けましょう。市場平均は株価と企業業績の両方で毎月変わるため、目安も最新の統計で更新しておく必要があります。
出典: 用語集 株価収益率、規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2026年9月
PERの計算式と東証統計の前提
PERは「株価÷1株当たり当期純利益(EPS)」で計算し、会社全体で見れば「時価総額÷当期純利益」と同じ意味になります。東証の規模別・業種別PERでは、単純平均を「株価合計÷1株当たり当期純利益合計」、加重平均を「時価総額合計÷当期純利益合計」で算出しています。単純平均は銘柄数の多い小型株の、加重平均は時価総額の大きい大型株の影響を受けやすい点が違いです。
東証統計の利益は各社の決算期末の実績値で、決算期の3カ月後の月末に更新されます。2026年9月末の数値は、2025年7月期〜2026年6月期の確定数値に基づく実績PERです。証券会社のサイトなどで見かける会社予想ベースのPER(予想PER)とは利益の前提が違うため、比べるときは基準を揃えてください。
- PER(倍)=株価÷1株当たり当期純利益
- PER(倍)=時価総額÷当期純利益
- 益回り(%)=1÷PER×100
- PBR(倍)=株価÷1株当たり純資産
出典: 用語集 株価収益率、規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2026年9月、規模別・業種別PER・PBR計算要領(2024年2月1日)、用語集 株価純資産倍率
PERの目安早見表(市場別・規模別、2026年9月末)
東証の市場区分別に見ると、成長企業の多いグロース市場はPERが高く、スタンダード市場は単純平均で14.5倍と低めです。グロース市場は利益の小さい企業も多く、加重平均は一部の大型銘柄の動きに左右されやすい点に注意しましょう。規模別では、単純平均で大型株27.4倍、小型株16.8倍と差があります。
| 区分 | 会社数 | 単純PER | 加重PER | 加重PBR |
|---|---|---|---|---|
| プライム市場 | 1,534社 | 18.9倍 | 20.6倍 | 1.8倍 |
| スタンダード市場 | 1,538社 | 14.5倍 | 19.1倍 | 1.2倍 |
| グロース市場 | 589社 | 31.7倍 | 58.4倍 | 3.7倍 |
| 大型株 | 99社 | 27.4倍 | 20.7倍 | 2.0倍 |
| 中型株 | 392社 | 20.4倍 | 21.7倍 | 1.6倍 |
| 小型株 | 1,134社 | 16.8倍 | 17.1倍 | 1.3倍 |
出典: 規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2026年9月
業種別のPERの目安(プライム市場・加重平均)
同じプライム市場でも業種による差は大きく、建設業や証券、商品先物取引業は10倍台前半、電気機器やサービス業は40倍台です。PERの目安を考えるときは、まず投資先の業種平均を確認し、そこより高いか低いかを見ると判断の軸がぶれにくくなります。PBRも業種で水準が違い、電気・ガス業は0.7倍、電気機器は3.7倍でした。
| 業種 | 加重PER | 加重PBR |
|---|---|---|
| 証券、商品先物取引業 | 10.6倍 | 1.2倍 |
| 建設業 | 12.0倍 | 1.4倍 |
| 保険業 | 12.9倍 | 1.6倍 |
| 情報・通信業 | 13.0倍 | 2.0倍 |
| 電気・ガス業 | 14.3倍 | 0.7倍 |
| 輸送用機器 | 16.3倍 | 0.9倍 |
| 銀行業 | 18.4倍 | 1.6倍 |
| 小売業 | 27.7倍 | 2.5倍 |
| サービス業 | 41.3倍 | 2.0倍 |
| 電気機器 | 44.8倍 | 3.7倍 |
出典: 規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2026年9月
「PER15倍が目安」を東証の長期データで検証
「PER15倍が目安」という説は、公的機関が示した基準ではありません。東証の長期統計(連結・加重平均)で確かめると、市場区分見直し後のプライム市場(2022年4月〜2026年9月の54カ月)の平均は17.5倍、最低は2022年9月の14.1倍で、15倍以下だった月は8カ月だけでした。旧東証一部(2013年1月〜2022年3月の111カ月)でも中央値は18.6倍、15倍以下は16カ月です。
つまり15倍は、日本株全体の実績PERで見ると過去の下限に近い水準です。15倍を下回る銘柄が割安とは限らず、市場全体の水準が変われば目安も動きます。固定値ではなく「その時点の市場平均・業種平均との差」で判断する方が実態に合います。なお、ここでの数値は実績利益ベースで、会社予想の利益を使う予想PERとは水準が異なる場合があります。
| 期間 | 平均 | 中央値 | 最低 | 最高 | 15倍以下の月 |
|---|---|---|---|---|---|
| プライム 2022年4月〜2026年9月 | 17.5倍 | 17.2倍 | 14.1倍 | 21.8倍 | 8/54カ月 |
| 旧東証一部 2013年1月〜2022年3月 | 19.0倍 | 18.6倍 | 13.1倍 | 28.7倍 | 16/111カ月 |
出典: PER・PBR長期時系列データ
PERの計算例3パターン
架空の企業でPERを計算し、読み方の違いを比べます。パターン3のように利益が伸びると、株価が同じでもPERは下がります。PERが高い銘柄は、こうした将来の利益成長が株価に織り込まれている状態と読み取れます。逆に、成長が見込みを下回れば高いPERを維持できず、株価が調整される可能性があります。
PBRとの関係も押さえておきましょう。PBRは「PER×ROE(自己資本利益率)」に分解でき、PER15倍・ROE8%の企業なら、期末の自己資本ベースで近似するとPBRは約1.2倍です。PERが低くてもROEが低ければPBRも低くなり、株価の安さが収益力の弱さを映している場合があります。
| パターン | 前提 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1 標準的な企業 | 株価3,000円、EPS200円 | 3,000÷200 | PER15.0倍(益回り6.7%) |
| 2 会社全体で計算 | 時価総額2兆円、純利益1,000億円 | 2兆÷1,000億 | PER20.0倍 |
| 3 成長企業 | 株価4,000円、EPS80円、3年間年30%増益 | 4,000÷80、3年後EPS80×1.3³=175.76円で4,000÷175.76 | PER50.0倍→22.8倍 |
出典: 用語集 株価収益率、用語集 株価純資産倍率、用語集 自己資本当期純利益率
PERの目安を使うときの注意点
PERは利益を分母にするため、一時的な特別利益で利益が膨らむと低く、特別損失で利益が減ると高く出ます。赤字企業はPERがマイナスになり、東証統計でもマイナスの場合は「-」、1,000倍以上は「*」と表示されます。景気敏感株は利益が大きい局面ほどPERが低く見えやすい点にも注意が必要です。
- PERが低い:割安か、利益減少や成長鈍化を市場が見込んでいるかを確認
- PERが高い:利益成長の見込みが株価に見合うかを成長率と比べて確認
- 予想PERと実績PERを混ぜて比べない
- 異なる業種のPERを横並びで比べない
- PBR・ROE・配当利回りなど複数の指標を併用する
出典: 規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2026年9月、用語集 株価純資産倍率
まとめ:PERの目安は平均との比較で使う
PERの目安は「15倍」という固定値ではなく、2026年9月末ならプライム市場の単純18.9倍・加重20.6倍、さらに業種平均と比べて判断するのが実用的です。東証の規模別・業種別PERは毎月第1営業日に更新されるため、最新の数値で確認しましょう。PERは割安さのヒントにすぎず、利益成長率やPBR・ROEと組み合わせて企業の実力を見極めることが大切です。
出典: 規模別・業種別PER・PBR、規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2026年9月
よくある質問
Q. PERは何倍なら割安ですか?
A. 決まった基準はありません。東証の2026年9月末の統計では、プライム市場の加重平均PERが20.6倍、業種別では10倍台から40倍台まで幅があります。投資先と同じ業種の平均より低いか、その理由が利益の減少見込みではないかを確認して判断しましょう。
Q. PERとPBRの目安はどう使い分けますか?
A. PERは株価と利益(フロー)、PBRは株価と純資産(ストック)の関係を示します。PBRはPER×ROEに分解できるため、PERが同じでもROEが高い企業ほどPBRは高くなります。収益力と資産の両面から割高・割安を見るために併用します。
Q. PERがマイナスや表示なしになるのはなぜ?
A. 当期純利益が赤字だとPERはマイナスになり、意味のある比較ができません。東証の規模別・業種別PERでも、該当数値がない場合やマイナス値の場合は「-」で表示されます。赤字企業はPBRや売上高の伸びなど、別の指標で評価する必要があります。
Q. グロース株のPERの目安は?
A. 2026年9月末のグロース市場のPERは単純平均31.7倍、加重平均58.4倍で、プライム市場より大幅に高い水準です。将来の利益成長が株価に織り込まれているため、PERの高さだけで割高と決めつけず、利益成長が見込みどおり続くかを確認することが重要です。
Q. 予想PERと実績PERはどちらで目安を見ればよいですか?
A. 実績PERは確定した決算の利益、予想PERは会社や市場の予想利益を使います。東証の規模別・業種別PERは決算期末の実績値で算出されているため、市場平均と比べるなら実績PER同士で比べるのが筋です。予想PERを使う場合は、比較相手も予想ベースに揃えましょう。
出典・参考資料
- 用語集 株価収益率(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- 規模別・業種別PER・PBR(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- 規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2026年9月(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- 規模別・業種別PER・PBR計算要領(2024年2月1日)(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- PER・PBR長期時系列データ(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- 用語集 株価純資産倍率(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- 用語集 自己資本当期純利益率(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
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