日経平均株価は2026年9月18日に6万5000円台に乗せ、円建てでは過去最高値圏での推移が続いています。では、この上昇はユーロで暮らす人の目にはどう映っているのでしょうか。この記事では、日経平均を「ユーロ建て」に換算し、1年前・5年前・10年前・30年前の水準と並べて比べてみます。
なお、ユーロは1999年に誕生した比較的新しい通貨です。そのため「30年前(1996年)」の時点にはユーロがまだ存在せず、ユーロ建ての数値を出すことができません。この点も含めて、データの読み方を整理していきます。
結論:ユーロ建てでも上昇、ただし円建てほどではない
直近(2026年9月18日)の日経平均は65,018.95円、同日のユーロ円レートが1ユーロ=180.94円でしたので、ユーロ建てに直すと約359ユーロになります。
- 1年前と比べて:円建て +44.3% / ユーロ建て +38.6%
- 5年前と比べて:円建て +113.2% / ユーロ建て +52.7%
- 10年前と比べて:円建て +293.6% / ユーロ建て +148.7%
- 30年前と比べて:円建て +204.9% / ユーロ建て ユーロ導入前のため対象外
どの期間で見てもユーロ建てでしっかり上昇しています。ただし、期間が長くなるほど円建てとユーロ建ての差が開いていくのが特徴です。10年前との比較では、円建ての伸び(+293.6%)がユーロ建ての伸び(+148.7%)のおよそ2倍になっています。

データ一覧:円建て・ユーロ円レート・ユーロ建て
| 時点 | 日付 | 日経平均(円建て) | ユーロ円 | 日経平均(ユーロ建て) |
|---|---|---|---|---|
| 直近 | 2026年9月18日 | 65,018.95 円 | 180.94 円 | 359.34 ユーロ |
| 1年前 | 2025年9月19日 | 45,045.81 円 | 173.79 円 | 259.20 ユーロ |
| 5年前 | 2021年9月17日 | 30,500.05 円 | 129.61 円 | 235.32 ユーロ |
| 10年前 | 2016年9月16日 | 16,519.29 円 | 114.35 円 | 144.46 ユーロ |
| 30年前 | 1996年9月19日 | 21,322.85 円 | ―(ユーロ未導入) | 対象外 |
| 比較 | 円建ての変化率 | ユーロ建ての変化率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1年前 → 直近 | +44.3% | +38.6% | 5.7ポイント |
| 5年前 → 直近 | +113.2% | +52.7% | 60.5ポイント |
| 10年前 → 直近 | +293.6% | +148.7% | 144.9ポイント |
| 30年前 → 直近 | +204.9% | 対象外 | ― |
なぜ円建てとユーロ建てで差が出るのか
理由はシンプルで、この10年間で円がユーロに対して安くなったからです。ユーロ円レートを並べると、その動きがはっきり見えます。
- 2016年9月:1ユーロ=114.35円
- 2021年9月:1ユーロ=129.61円
- 2025年9月:1ユーロ=173.79円
- 2026年9月:1ユーロ=180.94円
10年間で1ユーロあたり114円から181円へと、円の価値はユーロに対して約37%目減りした計算になります。日経平均は「円で測った日本株の値段」ですから、円そのものが安くなれば、同じ株価でもユーロに直したときの金額は小さくなります。円建ての上昇率のうち一定部分は、企業価値の増加ではなく通貨の目減りによる「見かけの上昇」だった、という見方ができるわけです。
もっとも、ユーロ建てでも10年で+148.7%、5年で+52.7%と大きく伸びていることは事実です。「円安のおかげで上がっただけ」というほど単純でもなく、通貨の影響を取り除いてもなお、日本株は上昇してきたと読むのが妥当でしょう。
30年前がユーロ建てで比較できない理由
ユーロは1999年1月1日に、まず銀行間取引や会計上で使う通貨として導入されました。紙幣と硬貨が実際に街に出回り始めたのは2002年1月です。つまり、30年前にあたる1996年9月の時点では、ユーロという通貨はこの世に存在していません。
この記事では、存在しない通貨のレートを推定して数値を作ることはしていません。1996年の欄は「対象外」としています。
ユーロにはECU(European Currency Unit/欧州通貨単位)という前身があり、1999年にユーロへ1対1で引き継がれました。そのため理屈の上ではECU建ての参考値を出すこともできるのですが、今回の記事作成時点で1996年9月のECU/円レートを信頼できる公開データソースから取得することができませんでした(今回利用したECB基準レートの配信APIは、1999年1月4日以降の系列しか返しません。実際に1996年9月19日を指定したリクエストは「該当データなし」で返ってきています)。推測値を実データのように扱うことは避けたいため、1996年については円建ての数値のみを掲載しています。
参考までに、ユーロが取引を開始した1999年1月4日のユーロ円レートは1ユーロ=133.73円でした。現在の180.94円と比べると、ユーロ誕生からの約28年で円はユーロに対しておよそ26%目減りしています。
円建てだけを見ていると何を見落とすか
株価を自国通貨だけで見ていると、通貨価値の変動が数字に紛れ込みます。海外に旅行する、輸入品を買う、外貨建ての資産を持つ――こうした場面では「円でいくらになったか」より「他の通貨と比べてどれだけの購買力があるか」のほうが実感に近くなります。
ユーロ建てやドル建てに換算してみることは、そうした通貨の物差しを入れ替えて見る作業です。どちらが正しいということはなく、両方を並べることで、日本株の値動きのうちどこまでが企業の成長で、どこからが為替の影響なのかを切り分けやすくなります。
データの出典と注意点
- 日経平均株価:Yahoo Finance のチャートAPI(銘柄コード ^N225)から取得した各日の終値
- ユーロ円レート:欧州中央銀行(ECB)の基準レートを配信する Frankfurter API(
api.frankfurter.dev)から取得
- 各時点は、比較基準日にもっとも近い営業日を採用しています(1年前は9月19日、5年前は9月17日、10年前は9月16日が直近の営業日でした)。
- 直近値は2026年9月18日を基準にしています。記事作成時点で、日経平均・ユーロ円ともにデータが確定している最新の営業日がこの日でした。
- ECBの基準レートは中央ヨーロッパ時間の午後に決定されるため、東京市場の終値とは時刻が一致しません。日をまたぐ細かなズレは含まれます。
- 1996年のECU建て参考値は、信頼できるデータを確認できなかったため掲載していません。
この記事は公開データをもとにした統計の図解紹介であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。実際の投資判断はご自身の責任でお願いします。










