最終更新: 2026年10月06日
パートやアルバイトで働く人にとって、社会保険に加入するかどうかは手取りに直結します。2026年10月1日には月額8.8万円の賃金要件が撤廃され、加入条件が変わりました。この記事では、2026年10月6日時点(令和8年度)の加入条件を表で整理し、改正前後の違い、2027年10月以降の企業規模要件の縮小スケジュール、月収別の保険料の目安と手続きを解説します。
この記事の結論
- 2026年10月1日に月額8.8万円の賃金要件が撤廃された
- 51人以上の企業等では週20時間以上・学生以外が対象
- 2027年10月に36人以上、2035年10月に規模要件撤廃
この記事の目次
- 社会保険の加入条件の結論:誰が・いつから・何が変わったか
- 社会保険の加入条件一覧表(2026年10月6日時点)
- 社会保険の加入条件の改正前後の比較とスケジュール
- 社会保険の加入条件に当てはまる人への影響(保険料の計算例)
- 社会保険の加入条件を満たしたときの手続き
- 社会保険の加入条件まとめ
- よくある質問
- 出典・参考資料
社会保険の加入条件の結論:誰が・いつから・何が変わったか
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件は2段階で判定します。まず、1週の所定労働時間と1月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上なら、パートやアルバイトでも被保険者です。4分の3未満の短時間労働者でも、特定適用事業所(厚生年金の被保険者が常時51人以上の企業等)などで働き、週の所定労働時間が20時間以上で学生でなければ加入対象になります。
日本年金機構によると、令和7年年金制度改正法に基づき、短時間労働者の要件のうち賃金要件(所定内賃金が月額8.8万円以上)は2026(令和8)年10月1日に撤廃されました。これにより短時間労働者の要件は、労働時間・企業規模・学生でないことの3つです。企業規模要件も2027年10月から段階的に縮小されます。
出典: 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大、2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました、適用拡大の実施により、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の被保険者資格の取得要件はどのようになりますか。
社会保険の加入条件一覧表(2026年10月6日時点)
短時間労働者の要件と、雇用期間に関する除外規定を一覧にしました。雇用期間については、2か月以内の期間を定めて使用される人は原則として対象外ですが、当初の契約が2か月以内でも、その期間を超えて雇用されることが見込まれる場合は契約当初から被保険者になります。学生でも、休学中の人や定時制・通信制の課程に在学する人などは対象です。
| 要件 | 現在の内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 | 4分の3以上なら企業規模を問わず加入 |
| 賃金 | 要件なし(2026年10月1日撤廃) | 最低賃金の減額特例で月8.8万円未満の人は原則対象外、申出で加入可 |
| 企業規模 | 厚生年金の被保険者が常時51人以上(特定適用事業所) | 国・地方公共団体は人数を問わず対象。労使合意による任意特定適用も可 |
| 学生 | 学生は対象外 | 休学中、定時制・通信制、卒業後も同じ事業所で働く人などは対象 |
| 雇用期間 | 2か月以内の期間を定めた雇用は原則対象外 | 2か月を超える雇用の見込みがあれば当初から加入 |
出典: 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大、2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました、適用事業所と被保険者、短時間労働者の要件「学生でないこと」の「学生」とはどのような者を指すのですか
社会保険の加入条件の改正前後の比較とスケジュール
厚生労働省の解説によると、短時間労働者への適用は2016年10月に従業員500人超の企業から始まり、2022年10月に100人超、2024年10月に50人超へ広がりました。令和7年改正では企業規模要件を10年かけて縮小し、2035年10月1日に撤廃する予定です。また2029年10月以降は、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所も原則として全業種が適用対象となります(その時点で既に開業している従来非適用業種の事業所は当分の間対象外)。
賃金要件が撤廃された理由として、厚生労働省は、最低賃金が時給1,016円以上になれば週20時間働くだけで月8.8万円を満たし、要件としての実質的な意味がなくなる点を挙げています。令和7年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,121円、最も低い地域でも1,023円です。
| 時期 | 企業規模要件 | 賃金要件 |
|---|---|---|
| 2016年10月 | 500人超 | 月額8.8万円以上 |
| 2022年10月 | 100人超 | 月額8.8万円以上 |
| 2024年10月 | 50人超(51人以上) | 月額8.8万円以上 |
| 2026年10月1日 | 50人超(51人以上) | 撤廃 |
| 2027年10月1日 | 35人超(36人以上) | なし |
| 2029年10月1日 | 20人超(21人以上) | なし |
| 2032年10月1日 | 10人超(11人以上) | なし |
| 2035年10月1日 | 撤廃 | なし |
出典: 年金制度の仕組みと考え方 第9 被用者保険の適用拡大、令和7年度年金制度改正法が6月20日に公布されました。、全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました
社会保険の加入条件に当てはまる人への影響(保険料の計算例)
加入すると、健康保険料と厚生年金保険料を事業主と折半で負担します。令和8年度(2026年3月分〜)の協会けんぽの平均保険料率は9.9%(東京支部は9.85%)、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。2026年4月分からは子ども・子育て支援金(率0.23%)も加わりました。下表は協会けんぽ東京支部で40歳未満(介護保険料なし)の本人負担月額です。
厚生年金の標準報酬月額は最低が8万8,000円のため、月収9万円でも8万8,000円で計算されます。一方で、加入すると将来の老齢厚生年金が増え、健康保険の給付も受けられます。改正法では、事業主が通常より多く保険料を負担して本人負担を軽くできる仕組みが設けられ、事業主の追加負担分は3年間に限り全額支援されます。
- 配偶者の扶養内で働く人:勤務先で加入すると被扶養者から外れる
- 扶養の判定(2026年4月〜):労働契約上の年間収入130万円未満(19歳以上23歳未満は150万円、60歳以上等は180万円未満)
- 50人以下の企業で働く人:2027年10月以降、企業規模に応じて順次対象
- 学生:原則対象外(定時制・通信制・休学中などは対象)
| 月収 | 標準報酬月額 | 健康保険(9.85%の折半) | 子ども・子育て支援金 | 厚生年金(18.3%の折半) | 本人負担の合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 9万円 | 88,000円 | 4,334.0円 | 101.2円 | 8,052円 | 約12,487円 |
| 11万円 | 110,000円 | 5,417.5円 | 126.5円 | 10,065円 | 約15,609円 |
| 15万円 | 150,000円 | 7,387.5円 | 172.5円 | 13,725円 | 約21,285円 |
出典: 令和7年度年金制度改正法が6月20日に公布されました。、令和8年度保険料率のお知らせ、令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)、厚生年金保険の保険料、労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて(令和7年10月1日通知)
社会保険の加入条件を満たしたときの手続き
加入の手続きは原則として事業主が行います。短時間労働者に該当すると、事業主が「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出し、健康保険組合に加入している事業所は組合にも届け出ます。働き方が変わり、通常の労働者から短時間労働者(またはその逆)になった場合は「被保険者区分変更届」が必要です。本人は労働条件通知書で所定労働時間と契約期間を確認し、国民健康保険から切り替わる場合や配偶者の扶養から外れる場合の届出も忘れないようにしましょう。
| 手順 | 主に行う人 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 本人 | 労働条件通知書で週の所定労働時間・契約期間を確認 |
| 2 | 事業主 | 被保険者資格取得届を日本年金機構(健保組合)へ提出 |
| 3 | 本人 | 国民健康保険の脱退手続き、または配偶者の勤務先へ扶養から外れる届出 |
| 4 | 事業主 | 働き方が変わったときは被保険者区分変更届を提出 |
出典: 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
社会保険の加入条件まとめ
2026年10月6日時点の社会保険の加入条件は、4分の3以上の勤務なら規模を問わず加入、4分の3未満なら「週20時間以上・学生でない・51人以上の企業等」の3要件で判定します。月額8.8万円の賃金要件は2026年10月1日に撤廃され、企業規模要件も2027年10月から段階的に縮小されます。勤め先の被保険者数と自分の所定労働時間を確認し、手取りと将来の年金の両面から働き方を検討しましょう。
出典: 2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました、年金制度の仕組みと考え方 第9 被用者保険の適用拡大
よくある質問
Q. 社会保険の加入条件に「106万円の壁」はまだありますか?
A. 短時間労働者の賃金要件(月額8.8万円以上、年収換算で約106万円)は2026年10月1日に撤廃されました。現在は週20時間以上などの要件で判定します。なお健康保険の被扶養者の収入基準(130万円未満など)は別の制度です。
Q. 学生アルバイトは社会保険に加入しますか?
A. 短時間労働者の要件に「学生でないこと」があるため、高校生や大学生などは原則対象外です。ただし休学中の人、定時制・通信制の課程に在学する人、卒業後も同じ事業所で働く予定の人などは学生でも対象になります。
Q. 従業員50人以下の会社で働いていても加入しますか?
A. 適用事業所で所定労働時間・日数が通常の労働者の4分の3以上なら、企業規模に関係なく加入します。4分の3未満の場合は、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上の企業へと順次対象が広がります。労使合意による任意特定適用事業所なら現在でも対象です。
Q. 2か月以内の短期契約でも加入しますか?
A. 2か月以内の期間を定めて使用される人は原則として対象外です。ただし、当初の契約期間が2か月以内でも、その期間を超えて雇用されることが見込まれる場合は、契約当初から被保険者になります。
Q. 扶養の130万円の判定方法は変わりましたか?
A. 2026年4月1日から、労働条件通知書などの労働契約で定められた賃金から見込まれる年間収入が130万円未満で、他の収入がなければ原則として被扶養者と扱う取扱いが適用されています。19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は150万円未満です。
出典・参考資料
- 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 適用拡大の実施により、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の被保険者資格の取得要件はどのようになりますか。(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 適用事業所と被保険者(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 短時間労働者の要件「学生でないこと」の「学生」とはどのような者を指すのですか(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 年金制度の仕組みと考え方 第9 被用者保険の適用拡大(厚生労働省、2026-10-06閲覧)
- 令和7年度年金制度改正法が6月20日に公布されました。(厚生労働省、2026-10-06閲覧)
- 全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました(厚生労働省、2026-10-06閲覧)
- 令和8年度保険料率のお知らせ(全国健康保険協会(協会けんぽ)、2026-10-06閲覧)
- 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)(全国健康保険協会(協会けんぽ)、2026-10-06閲覧)
- 厚生年金保険の保険料(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて(令和7年10月1日通知)(厚生労働省、2026-10-06閲覧)
本記事は制度・商品の一般的な情報を、記載日時点の公的機関・事業者の公開資料に基づいてまとめたものです。税務・年金・保険・投資の個別の判断は、税理士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー等の専門家、または所管の窓口にご確認ください。金融商品の価値は変動し、元本を割り込むことがあります。








