最終更新: 2026年10月06日
「ETFも投資信託も同じ“投資信託”なのに、何が違うの?」と迷う方は少なくありません。両者の最大の違いは、証券取引所に上場しているかどうかです。上場の有無によって、売買できる時間や価格の決まり方、かかるコスト、NISAでの使い方まで変わります。この記事では東京証券取引所・金融庁・資産運用業協会などの公表情報をもとに、8つの比較軸と計算例で違いを整理し、どんな人にどちらが合うかを解説します。
この記事の結論
- 最大の違いは上場の有無。ETFは株と同じく市場で売買する
- 少額を自動で積み立てたいなら投資信託が扱いやすい
- 価格を見て売買したい・保有コストを抑えたい人はETFも候補
この記事の目次
- ETFと投資信託の違いの結論:どんな人に何が向くか
- ETFと投資信託の違いを8つの軸で比較
- 価格と取引方法の違い:基準価額と市場価格
- ETFと投資信託のコストの違いを計算
- NISAでのETFと投資信託の違い
- ETFと投資信託、向いている人・向かない人
- まとめ:ETFと投資信託の違いは目的で選ぶ
- よくある質問
- 出典・参考資料
ETFと投資信託の違いの結論:どんな人に何が向くか
ETF(Exchange Traded Funds)は、証券取引所に上場し、株価指数などへの連動を目指す投資信託です。ETFも通常の投資信託も同じ投資信託の仲間で、決定的な違いは「上場しているか、していないか」にあります(資産運用業協会・日本証券業協会)。東証に上場するETFは2026年9月30日更新時点で450銘柄(内国ETF427・外国ETF23)あり、2025年の391銘柄から増えています。
上場しているETFは、株式と同じように取引時間中のリアルタイムの市場価格で、指値・成行注文ができます。一方、通常の投資信託は1日1回算出される基準価額で取引し、注文した時点では約定価格が分かりません。どちらが優れているというより、売買のスタイルと手間のかけ方で向き不向きが分かれます。
出典: 銘柄数(ETF)、ETFと投資信託の違いを教えてください(投資の時間Q&A)、ETFの仕組み
ETFと投資信託の違いを8つの軸で比較
主な違いを、取引方法・価格・最低投資額・保有コスト・売買コスト・分配金・NISA・積立の8つの軸で一覧にしました。信託報酬の幅は東証が2017年8月時点で集計した参考値で、個別の商品のコストは目論見書で確認する必要があります。NISAの対象本数は金融庁が公表した2026年9月30日時点の数値です。
| 比較の軸 | ETF(上場投資信託) | 投資信託(非上場) |
|---|---|---|
| 取引方法 | 証券会社を通じて取引所で売買。成行・指値が可能 | 販売会社(証券会社・銀行・郵便局など)に申込み |
| 価格の決まり方 | 取引時間中に変動する市場価格 | 1日1回算出される基準価額(注文時は未確定) |
| 最低投資額 | 市場価格×売買単位。数千〜数万円程度 | 1万円程度から(積立は販売会社が定める額から) |
| 保有コスト(信託報酬) | 0.060〜0.950%(東証集計・2017年8月) | 0.100〜1.650%(同・インデックス型) |
| 売買コスト | 売買委託手数料+売値と買値の差(スプレッド) | 購入時手数料(無料のノーロードあり)。換金時に信託財産留保額がかかる商品も |
| 分配金の再投資 | 自動再投資の仕組みはなく現金で受取り | 再投資を選べる商品がある |
| NISAでの扱い | 成長投資枠。つみたて投資枠は対象ETF11本 | 成長投資枠。つみたて投資枠は対象投信360本 |
| 自動積立 | 証券会社によって対応が異なる | 販売会社の積立サービスで定額購入しやすい |
出典: ETFの概要 他の投資信託との違い、ETFの概要 特徴、ETFと投資信託の違いを教えてください(投資の時間Q&A)、投資信託のコスト、投資信託の4つのメリット、つみたて投資枠対象商品の概要について(2026年9月30日時点)、ETFの分配金って?
価格と取引方法の違い:基準価額と市場価格
投資信託の基準価額は、投資家に帰属する純資産総額を総口数で割った1口あたりの価額で、購入も換金もこの価額で行われます(資産運用業協会)。注文した当日には基準価額が公表されず、多くは翌営業日に判明するため、価格を指定して買うことはできません(日本証券業協会)。
ETFにも基準価額はありますが、投資家が売買するのは取引所でつく市場価格で、需給によって基準価額と一時的にずれることがあります。東証は2018年7月2日にETFのマーケットメイク制度を導入し、指定されたマーケットメイカーが気配を提示することで、売買したいときに公正な価格で取引しやすい環境づくりを進めています。売買単位は銘柄ごとに決まっており、単位ごとに注文する点も投資信託と異なります。
出典: ETFの概要 他の投資信託との違い、ETFと投資信託の違いを教えてください(投資の時間Q&A)、マーケットメイク制度 概要、基準価額と分配金
ETFと投資信託のコストの違いを計算
保有中にかかる信託報酬(運用管理費用)は、保有額に応じて日々信託財産から差し引かれる費用です。購入時手数料は販売会社に直接支払う費用で、無料の商品もあります(資産運用業協会)。ETFは売買のたびに売買委託手数料がかかり、買値と売値の差(スプレッド)も実質的なコストになります。
金融庁によると、2026年9月30日時点のつみたて投資枠対象の指定インデックス投信の信託報酬は、国内型が平均0.27%(法令上の上限0.5%)、内外・海外型が平均0.34%(同0.75%)です。100万円を保有し続けた場合の信託報酬を、運用益や売買コストを考慮せず単純計算すると次のとおりです。
実際には評価額の増減に合わせて信託報酬も変わるため、表の金額どおりにはなりません。それでも料率の差は保有期間が長いほど効いてきます。ETFは信託報酬の低い商品が多い一方、少額で何度も売買すると手数料とスプレッドの負担が積み上がるため、売買回数も含めて比べることが大切です。
| 前提となる料率 | 計算式 | 1年 | 10年(単純合計) |
|---|---|---|---|
| ETFの下限0.060%(東証集計) | 100万円×0.060% | 600円 | 6,000円 |
| 国内型インデックス投信の平均0.27% | 100万円×0.27% | 2,700円 | 27,000円 |
| 内外・海外型インデックス投信の平均0.34% | 100万円×0.34% | 3,400円 | 34,000円 |
| 内外・海外型の法令上の上限0.75% | 100万円×0.75% | 7,500円 | 75,000円 |
出典: ETFの概要 他の投資信託との違い、投資信託のコスト、つみたて投資枠対象商品の概要について(2026年9月30日時点)
NISAでのETFと投資信託の違い
2024年からのNISAは、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円で、合計年360万円まで投資でき、非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)です(金融庁)。ETFも投資信託も成長投資枠で購入できますが、つみたて投資枠は金融庁の基準を満たす商品に限られ、2026年9月30日時点の対象371本のうちETFは11本です。
つみたて投資枠の対象ETFには売買手数料1.25%以下などの要件があります。また、NISA口座でETFの分配金を非課税で受け取るには、受取方法を「株式数比例配分方式」にする必要があります。銀行口座での受取りなどを選んでいると、NISA口座で保有していても分配金は課税されます(金融庁資料)。
- 成長投資枠:ETF・投資信託ともに購入可
- つみたて投資枠:対象ETF11本、対象投信360本
- ETFの分配金は株式数比例配分方式で非課税
- 売却した枠は翌年以降に簿価分が復活
出典: つみたて投資枠対象商品の概要について(2026年9月30日時点)、NISAを利用する皆さまへ、NISAを知る(NISA特設ウェブサイト)
ETFと投資信託、向いている人・向かない人
ETFが候補になるのは、取引時間中の価格を見ながら指値で売買したい人、株式と同じ証券口座でまとめて管理したい人、保有コストを重視する人です。国内のETFは分配金の自動再投資ができないため(大和アセットマネジメント)、受け取った分配金を自分で買い増す手間を許容できるかが分かれ目です。
投資信託が向くのは、毎月一定額を自動で積み立てたい人、1万円程度の少額から始めたい人、分配金の再投資まで任せたい人です。なお再投資した分配金も一度受け取ったとみなされて課税されるため、課税口座では受取りと再投資で税金面の優劣はありません(日本証券業協会)。
出典: ETFと投資信託の違いを教えてください(投資の時間Q&A)、ETFの分配金って?、投資信託の分配金を受け取るか再投資するかはどのように決める?(投資の時間Q&A)
まとめ:ETFと投資信託の違いは目的で選ぶ
ETFと投資信託の違いは、上場しているかどうかから生まれます。リアルタイムで売買し保有コストを抑えたいならETF、少額を自動積立して手間を減らしたいなら投資信託が扱いやすい選択肢で、両方を組み合わせる方法もあります。どちらを選ぶ場合も、目論見書で信託報酬・売買手数料・分配方針を確認し、NISAの対象かどうかを金融機関で確かめてから購入しましょう。
出典: ETFと投資信託の違いを教えてください(投資の時間Q&A)
よくある質問
Q. 投資信託とETFはどちらが手数料が安い?
A. 保有中の信託報酬はETFが低めで、東証の2017年8月時点の集計ではETFが0.060〜0.950%、インデックス型投信が0.100〜1.650%でした。ただしETFは売買のたびに売買委託手数料とスプレッドがかかるため、売買回数と保有期間を含めた総コストで比べることが大切です。
Q. 投資信託とETFの違いで、初心者が気をつける点は?
A. ETFは市場価格で売買するため、注文方法(成行・指値)や売買単位を理解しておく必要があります。投資信託は基準価額が分からない状態で申し込む仕組みです。少額をコツコツ積み立てたい場合は、積立サービスが充実した投資信託のほうが手間をかけずに続けやすいでしょう。
Q. ETFは新NISAのつみたて投資枠で買える?
A. 買えるのは金融庁の基準を満たした対象ETFだけで、2026年9月30日時点で11本です。それ以外のETFは成長投資枠で購入します。取扱いは証券会社によって異なるため、つみたて投資枠で買えるETFがあるかは口座を開く証券会社で確認してください。
Q. ETFの分配金は再投資できる?
A. 国内のETFには、分配金を自動で再投資する仕組みがありません。分配金は現金で支払われるため、再投資したい場合は自分で買い付ける必要があります。NISA口座で非課税にするには、受取方法を株式数比例配分方式にしておきましょう。
出典・参考資料
- 銘柄数(ETF)(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- ETFの概要 他の投資信託との違い(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- ETFの概要 特徴(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- ETFと投資信託の違いを教えてください(投資の時間Q&A)(日本証券業協会(J-FLEC掲載)、2026-10-06閲覧)
- ETFの仕組み(資産運用業協会、2026-10-06閲覧)
- 投資信託のコスト(資産運用業協会、2026-10-06閲覧)
- 投資信託の4つのメリット(資産運用業協会、2026-10-06閲覧)
- つみたて投資枠対象商品の概要について(2026年9月30日時点)(金融庁、2026-10-06閲覧)
- NISAを利用する皆さまへ(金融庁、2026-10-06閲覧)
- ETFの分配金って?(大和アセットマネジメント、2026-10-06閲覧)
- マーケットメイク制度 概要(日本取引所グループ、2026-10-06閲覧)
- 投資信託の分配金を受け取るか再投資するかはどのように決める?(投資の時間Q&A)(日本証券業協会(J-FLEC掲載)、2026-10-06閲覧)
- 基準価額と分配金(資産運用業協会、2026-10-06閲覧)
- NISAを知る(NISA特設ウェブサイト)(金融庁、2026-10-06閲覧)
本記事は制度・商品の一般的な情報を、記載日時点の公的機関・事業者の公開資料に基づいてまとめたものです。税務・年金・保険・投資の個別の判断は、税理士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー等の専門家、または所管の窓口にご確認ください。金融商品の価値は変動し、元本を割り込むことがあります。







