最終更新: 2026年10月06日
病気やけがで働くことや日常生活が難しくなったとき、暮らしを支える制度が障害年金です。ただ、申請には初診日の証明や医師の診断書などの準備が必要で、何から始めればよいか迷う方も少なくありません。この記事では日本年金機構の公表情報をもとに、受給の3要件、障害基礎年金と障害厚生年金の違い、申請手順と必要書類、提出先、審査期間の目安、2026年度(令和8年度)の年金額までを順番に解説します。
この記事の結論
- 申請は初診日の確認から。まず3要件を満たすか確かめる
- 書類は請求書・診断書・受診状況等証明書・申立書が柱
- 提出から年金証書が届くまで3カ月程度が目安
この記事の目次
- 障害年金の申請の結論:最初にやること
- 障害年金を申請できる3つの要件
- 障害基礎年金と障害厚生年金の違い(2026年度の年金額)
- 障害年金の申請手順(必要書類と所要時間)
- 障害年金の申請でつまずきやすいポイント
- まとめ:障害年金の申請は初診日の確認から
- よくある質問
- 出典・参考資料
障害年金の申請の結論:最初にやること
障害年金の申請(法令上は「請求」)は、①初診日を確認する、②保険料の納付要件を満たすか確かめる、③医師に診断書を依頼する、④年金請求書と添付書類を提出する、という流れで進みます。日本年金機構の障害年金ガイドでは、請求書の提出から3カ月程度で年金証書・年金決定通知書が届くとされています。
障害認定日(初診日から1年6カ月を過ぎた日など)以降であれば、請求書はいつでも提出できます。ただし、さかのぼって受け取れる年金は時効により5年分が限度です。症状が後から重くなった場合の「事後重症による請求」は請求日の翌月分からの支給になるため、請求が遅れるほど受給開始も遅くなります。準備が整いしだい早めに手続きすることが大切です。
出典: 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額、障害年金ガイド 令和8年度版
障害年金を申請できる3つの要件
障害年金を受け取るには、次の3要件をすべて満たす必要があります(日本年金機構)。保険料納付要件には特例があり、初診日が令和18年3月末日までにあり、初診日に65歳未満であれば、初診日の前々月までの直近1年間に未納がなければ要件を満たします。20歳前に初診日がある場合、障害基礎年金の納付要件は問われません。
障害の程度の目安として、1級は他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない状態、2級は必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても日常生活が極めて困難で、労働によって収入を得ることができない状態とされています(日本年金機構)。等級は診断書などをもとに、法令の障害認定基準に沿って判断されます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①初診日要件 | 障害の原因となった病気・けがで初めて医師等の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金保険に加入していること(20歳前、60歳以上65歳未満の国内在住期間も対象) |
| ②保険料納付要件 | 初診日の前日時点で、初診日がある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と免除期間の合計が3分の2以上あること |
| ③障害状態要件 | 障害認定日に、障害等級表の1級・2級(障害厚生年金は1〜3級)に該当すること |
出典: 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額、障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額、障害年金ガイド 令和8年度版
障害基礎年金と障害厚生年金の違い(2026年度の年金額)
初診日に国民年金に加入していた人(自営業者・学生など)は障害基礎年金、厚生年金保険に加入していた人(会社員・公務員など)は障害厚生年金を請求します。障害厚生年金の1級・2級に該当すると、障害基礎年金もあわせて受け取れます。障害厚生年金の報酬比例部分は、加入期間が300月(25年)未満でも300月とみなして計算されるため、加入期間が短い人も一定の額が見込めます。
表の金額は昭和31年4月2日以後生まれの人の2026年度(令和8年4月分から)の額で、それ以前の生まれは1級1,056,125円、2級844,900円です。子の加算額は2人目まで1人243,800円、3人目以降1人81,300円です。たとえば障害基礎年金2級で子が2人いる場合、847,300円+243,800円×2=年1,334,900円が目安になります。
| 項目 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
|---|---|---|
| 初診日の加入制度 | 国民年金 | 厚生年金保険 |
| 対象の等級 | 1級・2級 | 1〜3級(より軽い障害は障害手当金) |
| 1級の年金額 | 1,059,125円+子の加算 | 報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金額243,800円 |
| 2級の年金額 | 847,300円+子の加算 | 報酬比例の年金額+配偶者加給年金額243,800円 |
| 3級・一時金 | なし | 3級は最低保障635,500円、障害手当金は最低保障1,271,000円 |
| 請求書の提出先 | 住所地の市区町村役場(第3号被保険者期間の初診は年金事務所等) | 年金事務所・街角の年金相談センター(電子申請も可) |
出典: 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額、障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額、障害基礎年金を受けられるとき、障害年金ガイド 令和8年度版、障害厚生年金を受けられるとき
障害年金の申請手順(必要書類と所要時間)
申請の手順と必要書類を表にまとめました。所要時間は日本年金機構が目安を示している工程のみ記載しています。診断書や受診状況等証明書の作成にかかる日数は医療機関によって異なるため、余裕をもって依頼しましょう。戸籍謄本や住民票は、マイナンバーが登録されている単身者などは原則として添付を省略できます。
18歳到達年度末までの子(障害の状態にある20歳未満の子を含む)がいる人は、子の加算を受けるために戸籍謄本や世帯全員の住民票の写し、子の収入が確認できる書類なども必要です(マイナンバーの記入で省略できるものあり)。公金受取口座を年金の受取口座にする場合は、通帳のコピーの添付は不要です。
| 手順 | やること | 必要書類・ポイント | 目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 初診日の確認・相談 | 初診の医療機関と日付を整理し、年金事務所や市区町村で納付要件を確認 | 受診日がわかる診察券・領収書など | — |
| 2. 受診状況等証明書の取得 | 初診の医療機関と診断書を作る医療機関が異なる場合に依頼 | 受診状況等証明書(所定様式) | 医療機関による |
| 3. 診断書の依頼 | 主治医に所定様式の診断書を依頼 | 障害認定日以後3カ月以内の現症。請求日と1年以上離れる場合は請求日前3カ月以内の現症のものも必要 | 医療機関による |
| 4. 病歴・就労状況等申立書の作成 | 発病から現在までの経過と日常生活・就労の状況を記入 | 病歴・就労状況等申立書 | — |
| 5. 年金請求書の提出 | 添付書類をそろえて提出 | 年金請求書、生年月日を確認できる書類、受取口座の通帳等 | — |
| 6. 審査・決定 | 日本年金機構が障害状態を認定 | 年金証書・年金決定通知書が届く | 提出から3カ月程度 |
| 7. 振込開始 | 偶数月に2カ月分ずつ振込 | — | 証書到着から約1〜2カ月後 |
出典: 障害基礎年金を受けられるとき、障害年金ガイド 令和8年度版、障害厚生年金を受けられるとき
障害年金の申請でつまずきやすいポイント
最も多いつまずきは初診日の証明です。転院していても、初診日は同じ病気やけがで最初に医師等の診療を受けた日になります。初診の医療機関で記録が残っていないなど証明が難しい場合でも、ほかの書類によって本人が申し立てた日が初診日と認められることがあるため、早めに年金事務所へ相談しましょう。
診断書の現症日にも注意が必要です。障害認定日から1年以上たってから請求する場合は、認定日時点と現在の2枚の診断書が必要になります。また、事後重症による請求は65歳の誕生日の前々日までに行わなければなりません。病歴・就労状況等申立書は診断書を補う資料なので、日常生活の困りごとを具体的に書きましょう。
受給が決まった後も手続きは続きます。障害の状態の確認が必要な年には、誕生月の3カ月前の月末に「障害状態確認届(診断書)」が送られてくるため、医師に記載してもらい誕生月の末日までに提出します。障害年金を受け取れない場合は、日本年金機構から不支給決定通知書が送付されます。
- 転院前の初診日を見落とす
- 診断書の現症日が期間から外れる
- 65歳の誕生日の前々日を過ぎる
- 申立書の記載が抽象的で状況が伝わらない
出典: 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額、障害基礎年金を受けられるとき、障害年金ガイド 令和8年度版
まとめ:障害年金の申請は初診日の確認から
障害年金の申請は、初診日・保険料納付・障害状態の3要件の確認から始まります。2026年度の障害基礎年金は1級1,059,125円、2級847,300円(昭和31年4月2日以後生まれ)で、会社員などは障害厚生年金が上乗せされます。書類の準備には医療機関の協力が欠かせないため、まずは年金事務所や市区町村の窓口で必要書類を確認するところから始めましょう。さかのぼれる期間には5年の時効があるため、迷っている段階でも早めの相談が安心です。
出典: 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額、障害年金ガイド 令和8年度版
よくある質問
Q. 障害年金の申請は自分でできる?
A. できます。年金請求書は市区町村役場や年金事務所、街角の年金相談センターの窓口に備え付けられており、日本年金機構は請求書の書き方を紹介する動画も公開しています。初診日の確認や書類の準備で迷う場合は、窓口で事前に相談できます。
Q. 障害年金の審査にはどれくらいかかる?
A. 日本年金機構のガイドでは、請求書の提出から3カ月程度で年金証書・年金決定通知書が届くとされています。障害の状態を詳しく確認する必要がある場合などは、通常より時間がかかります。振込は証書が届いてから約1〜2カ月後に始まります。
Q. 障害年金はさかのぼって受け取れる?
A. 障害認定日に障害の状態にあった場合は、認定日の翌月分から受け取れます。ただし時効により、さかのぼれるのは5年分が限度です。認定日から1年以上たって請求するときは、認定日時点と現在の2枚の診断書が必要です。
Q. 障害年金の申請に必要な診断書は?
A. 日本年金機構の所定様式の診断書を医師に作成してもらいます。障害認定日以後3カ月以内の現症のものが必要で、認定日と請求日が1年以上離れている場合は請求日前3カ月以内の現症の診断書もあわせて提出します。レントゲンフィルムや心電図のコピーが必要になる場合もあります。
Q. 会社員が障害年金を申請する場合の提出先は?
A. 初診日に厚生年金保険に加入していた場合は障害厚生年金の請求となり、提出先は年金事務所または街角の年金相談センターです。e-Govを使った電子申請もできます。国民年金のみの加入期間に初診日がある場合は、住所地の市区町村役場に提出します。
出典・参考資料
- 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 障害基礎年金を受けられるとき(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 障害年金ガイド 令和8年度版(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 障害厚生年金を受けられるとき(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
本記事は制度・商品の一般的な情報を、記載日時点の公的機関・事業者の公開資料に基づいてまとめたものです。税務・年金・保険・投資の個別の判断は、税理士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー等の専門家、または所管の窓口にご確認ください。金融商品の価値は変動し、元本を割り込むことがあります。











