最終更新: 2026年10月06日
「遺族年金が5年で打ち切りになるって本当?」「すでに受け取っている自分も対象?」と不安に感じている人は多いはずです。令和7年6月に成立した年金制度改正法で、遺族厚生年金の男女差を解消する見直しが決まり、2028年4月に施行されます。この記事では、厚生労働省と日本年金機構の一次情報をもとに、誰が・いつから・何が変わるのかを、現行制度との比較表、年齢別の影響、中高齢寡婦加算の扱い、収入制限の変化とあわせて整理します。
この記事の結論
- 遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行
- 子のない60歳未満の配偶者は男女とも原則5年の有期給付
- 既に受給中の人や60歳以降に死別した人は影響なし
この記事の目次
- 遺族年金の改正の結論:2028年4月から遺族厚生年金の男女差を解消
- 遺族年金の改正内容の条件表(施行日・対象者・経過措置)
- 遺族年金の改正前後の比較(子のない配偶者の場合)
- 遺族年金の改正で影響を受ける人・受けない人(年齢別)
- 遺族年金の請求手続きと改正後の継続給付
- まとめ:遺族年金の改正は2028年4月、既受給者は影響なし
- よくある質問
- 出典・参考資料
遺族年金の改正の結論:2028年4月から遺族厚生年金の男女差を解消
令和7年5月16日に国会へ提出された年金制度改正法案は、衆議院での修正を経て6月13日に成立しました。このうち遺族厚生年金の見直しは2028年4月(令和10年4月1日)の施行予定です。18歳年度末までの子がいない20〜50代の配偶者を原則5年の有期給付の対象とし、60歳未満の男性を新たに支給対象に加えます。
あわせて、5年経過後の給付の継続(継続給付)、死亡分割制度と有期給付加算の新設、収入要件の廃止、中高齢寡婦加算の段階的な見直しが行われます。有期給付の額は有期給付加算により、現在の遺族厚生年金の約1.3倍になります。子に支給する遺族基礎年金についても、子ども自らの選択によらない事情(父母の再婚など)で支給停止にならないよう規定が見直されます。
出典: 遺族厚生年金の見直しについて、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(令和7年法律第74号)の概要等
遺族年金の改正内容の条件表(施行日・対象者・経過措置)
女性の有期給付の対象年齢は一度に引き上げるのではなく、2028年4月から20年かけて段階的に引き上げます。施行直後に原則5年の有期給付の対象になる女性は、18歳年度末までの子がいない、2028年度末時点で40歳未満の人です。新たに対象となる30代女性は推計で年間約250人、新たに5年の有期給付を受けられるようになる男性は年間約1万6千人と推計されています。
| 項目 | 改正後の内容 | 施行・経過措置 |
|---|---|---|
| 有期給付の対象 | 18歳年度末までの子がいない60歳未満の配偶者(男女とも)は原則5年 | 2028年4月施行。女性は20年かけて段階的に対象年齢を引上げ |
| 男性への支給 | 60歳未満の子のない夫も5年の有期給付を受給可能に | 2028年4月から実施 |
| 有期給付加算 | 5年の有期給付の額を現在の約1.3倍に増額 | 新設 |
| 継続給付 | 5年経過後も障害年金受給権者や収入が十分でない人は給付継続(最長65歳まで) | 新設 |
| 収入要件 | 有期給付の収入要件(年収850万円未満)を廃止 | 2028年4月施行 |
| 死亡分割 | 亡くなった配偶者の加入記録で自身の老齢厚生年金を増額 | 新設 |
| 中高齢寡婦加算 | 施行日以降に新規発生する加算額を段階的に縮小 | 令和35年度まで25年かけて縮小 |
| 遺族基礎年金の子の加算 | 第2子までと第3子以降の差をなくし一律281,700円(2024年度価格) | 2028年4月施行 |
出典: 遺族厚生年金の見直しについて、遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(令和7年法律第74号)の概要等
遺族年金の改正前後の比較(子のない配偶者の場合)
現行制度では、子のない妻は30歳未満で死別すると5年間の有期給付、30歳以上なら無期給付です。一方、子のない夫は55歳以上でないと受給できず、受給開始も60歳からです。改正後は男女とも、60歳未満で死別した場合は原則5年間の有期給付となり、配慮が必要な場合は5年目以降も給付が続きます。60歳以上で死別した場合の無期給付は現行どおりです。
現行の遺族年金の「収入制限」は、亡くなった人に生計を維持されていたかの判定で、前年の収入が850万円未満(または所得が655万5千円未満)であることが要件です。改正後は有期給付についてこの収入要件が廃止され、代わりに5年経過後の継続給付が本人の収入に応じて調整される仕組みになります。
| 区分 | 現行制度 | 改正後(2028年4月〜) |
|---|---|---|
| 妻・30歳未満で死別 | 5年間の有期給付 | 原則5年の有期給付(有期給付加算で増額) |
| 妻・30歳以上60歳未満で死別 | 無期給付(40〜65歳は中高齢寡婦加算あり) | 原則5年の有期給付(対象年齢は段階的に引上げ) |
| 夫・55歳未満で死別 | 支給なし | 原則5年の有期給付 |
| 夫・55歳以上60歳未満で死別 | 60歳から無期給付 | 原則5年の有期給付 |
| 60歳以上で死別(男女) | 無期給付 | 無期給付(現行どおり) |
| 収入要件 | 前年収入850万円未満など | 有期給付は収入要件を廃止 |
出典: 遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方、遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)、年金用語集 生計維持
遺族年金の改正で影響を受ける人・受けない人(年齢別)
厚生労働省は、すでに遺族厚生年金を受給している人、60歳以降に受給権が発生する人、18歳年度末までの子を養育する間にある人の給付内容、2028年度に40歳以上になる女性は、今回の見直しの影響を受けないと説明しています。子がいる場合は、子が18歳年度末になるまでは現行制度と同じで、その後さらに5年間、増額された有期給付と継続給付の対象になります。
中高齢寡婦加算は令和8年度で年額635,500円で、40歳以上65歳未満の子のない妻などの遺族厚生年金に加算されています。改正後は、施行日前から受け取っている妻は影響がなく、施行日以降に新規発生する加算は令和35年度まで25年かけて縮小します。一度受け取り始めた加算額は65歳まで変わらず、5年の有期給付となる妻も中高齢寡婦加算を受給できます。
| 対象者 | 改正の影響 |
|---|---|
| すでに遺族厚生年金を受給している人 | 影響なし |
| 2028年度に40歳以上になる女性 | 影響なし |
| 2028年度末時点で40歳未満の子のない女性 | 施行後に死別すると原則5年の有期給付 |
| 20〜50代の子のない男性 | 新たに5年の有期給付を受給可能 |
| 60歳以降に受給権が発生する人 | 影響なし(無期給付) |
| 18歳年度末までの子を養育中の人 | 子が18歳年度末までは現行どおり、その後5年の有期給付+継続給付 |
出典: 遺族厚生年金の見直しについて、遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方、遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
遺族年金の請求手続きと改正後の継続給付
改正後の継続給付は、単身の場合で就労収入が月額約10万円(年間122万円)以下なら全額支給されます。収入が増えるにつれて収入と年金の合計額が緩やかに増えるよう年金額が調整され、遺族厚生年金の額にもよりますが、おおむね月20〜30万円を超えると全額支給停止になります。年間122万円は、2025年度税制改正を反映した地方税所得に基づくと132万円(見込み)とされています。
遺族基礎年金は令和8年度で847,300円+子の加算額(1人目・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円)で、改正後は子の加算額が年間約23.5万円から約28万円に増額されます。また、令和10年3月31日時点で遺族厚生年金の受給権があり65歳未満の人は、老齢基礎年金を繰り下げて請求できるようになります。
- 遺族厚生年金の請求書の提出先:近くの年金事務所または街角の年金相談センター
- すでに受給中の人:見直しの影響を受けない
- 子のない20〜50代:5年経過後の収入見込みを踏まえて生活設計を確認
- 子の加算額:現在の受給者も含めて引上げの対象
- 施行は2028年4月予定のため、厚生労働省・日本年金機構の最新の公表を確認
出典: 遺族厚生年金の見直しについて、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(令和7年法律第74号)の概要等、遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)、遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)、遺族厚生年金を受けられるとき
まとめ:遺族年金の改正は2028年4月、既受給者は影響なし
遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行で、子のない60歳未満の配偶者は男女とも原則5年の有期給付になります。有期給付は約1.3倍に増額され、収入要件(850万円未満)は廃止、5年後も収入が十分でない人などは最長65歳まで継続給付を受けられます。すでに受給中の人、60歳以降に死別した人、2028年度に40歳以上になる女性は影響を受けません。中高齢寡婦加算は新規発生分が25年かけて縮小します。
出典: 遺族厚生年金の見直しについて、遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方
よくある質問
Q. 遺族年金の収入制限は改正でどうなりますか?
A. 現行の生計維持要件は前年の収入850万円未満(または所得655万5千円未満)です。改正後は有期給付の収入要件が廃止されます。5年経過後の継続給付は本人の収入に応じて調整され、単身なら就労収入が月約10万円以下で全額支給です。
Q. 遺族年金は5年で打ち切りになるのですか?
A. 子のない60歳未満の配偶者は原則5年の有期給付になりますが、5年経過後も障害年金の受給権者や収入が十分でない人は、増額された遺族厚生年金を最長65歳まで受け取れる継続給付があります。60歳以上で死別した場合は無期給付のままです。
Q. すでに遺族年金をもらっている人も改正の対象ですか?
A. 厚生労働省は、すでに遺族厚生年金を受給している人は今回の見直しの影響を受けないと説明しています。施行日前から中高齢寡婦加算を受け取っている妻も、加算の見直しの影響はありません。
Q. 夫(男性)も遺族厚生年金をもらいやすくなりますか?
A. 現行では子のない夫は55歳以上でないと受給できず、受給開始は60歳からです。改正後は2028年4月から、18歳年度末までの子がいない60歳未満の夫も原則5年の有期給付を受けられるようになり、対象者は年間約1万6千人と推計されています。
Q. 中高齢寡婦加算はなくなるのですか?
A. 施行日(令和10年4月1日)以降に新規発生する加算額が、令和35年度まで25年かけて段階的に縮小されます。施行日前から受け取っている人は影響がなく、受け取り始めた加算額は65歳になるまで変わりません。令和8年度の加算額は年額635,500円です。
出典・参考資料
- 遺族厚生年金の見直しについて(厚生労働省、2026-10-06閲覧)
- 遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方(厚生労働省、2026-10-06閲覧)
- 社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(令和7年法律第74号)の概要等(厚生労働省、2026-10-06閲覧)
- 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 年金用語集 生計維持(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
- 遺族厚生年金を受けられるとき(日本年金機構、2026-10-06閲覧)
本記事は制度・商品の一般的な情報を、記載日時点の公的機関・事業者の公開資料に基づいてまとめたものです。税務・年金・保険・投資の個別の判断は、税理士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー等の専門家、または所管の窓口にご確認ください。金融商品の価値は変動し、元本を割り込むことがあります。











