最終更新: 2026年10月06日
年末調整の時期になると、勤務先から「給与所得者の保険料控除申告書」の提出を求められ、計算欄の多さに戸惑う方も多いはずです。2026年(令和8年)分は、23歳未満の扶養親族がいる場合に一般生命保険料控除の上限が6万円に引き上げられ、申告書の様式も変わりました。この記事では国税庁の資料をもとに、控除額の計算式、申告書の書き方、控除証明書の電子データ、税率別の還付額の目安を整理します。
この記事の結論
- 新契約は一般・介護医療・個人年金で各最高4万円
- 2026年分は23歳未満の扶養親族がいれば一般が最高6万円
- 合計の上限は所得税12万円、住民税7万円
この記事の目次
- 保険料控除申告書で分かる控除額の結論
- 保険料控除の計算式と申告書に使う公的パラメータ
- 保険料控除申告書の書き方(2026年分)
- 保険料控除申告書の計算例3パターン(還付額の目安)
- 保険料控除申告書の注意点と控除証明書の電子データ
- 保険料控除申告書のまとめ
- よくある質問
- 出典・参考資料
保険料控除申告書で分かる控除額の結論
生命保険料控除は、支払った生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料に応じて所得から差し引ける控除です。平成24年1月1日以後に締結した新契約は、3つの区分ごとに最高4万円、合計で最高12万円です。平成23年12月31日以前の旧契約は一般の生命保険料と個人年金保険料の2区分で、各最高5万円です。地震保険料控除は所得税で最高5万円です。
2026年分(令和8年分)の所得税では、年齢23歳未満(平成16年1月2日以後生まれ)の扶養親族がいる人は、新契約の一般生命保険料の控除額が最高6万円になります。ただし3区分の合計上限は改正前と同じ12万円です。住民税の生命保険料控除は、新契約で各最高2万8,000円、合計最高7万円です。
出典: No.1140 生命保険料控除、No.1145 地震保険料控除、個人住民税(生命保険料・地震保険料控除の計算方法)、令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書の記載例、税制改正等の内容(令和8年分)
保険料控除の計算式と申告書に使う公的パラメータ
控除額は年間の支払保険料等(その年に支払った金額から剰余金や割戻金を差し引いた額)を、契約の新旧ごとの計算式に当てはめて求めます。2026年分の保険料控除申告書では、新契約用を計算式Ⅰ、23歳未満の扶養親族がいる場合の新生命保険料用を計算式Ⅱ、旧契約用を計算式Ⅲとして記入欄が分かれています。
新契約と旧契約の両方がある区分は、旧契約の支払保険料等が6万円を超えるなら旧契約だけで計算した額(最高5万円)、6万円以下なら新旧の合計額(最高4万円。23歳未満の扶養親族がいる一般生命保険料は最高6万円)になります。地震保険料は5万円以下なら全額、5万円超は一律5万円で、平成18年末までの一定の旧長期損害保険料は最高1万5,000円です。
| 区分 | 全額が控除 | 支払額×1/2+定額 | 支払額×1/4+定額 | 上限 |
|---|---|---|---|---|
| 所得税・新契約(計算式Ⅰ) | 2万円以下 | 2万円超4万円以下:+1万円 | 4万円超8万円以下:+2万円 | 8万円超:4万円 |
| 所得税・23歳未満の扶養親族あり(計算式Ⅱ) | 3万円以下 | 3万円超6万円以下:+1.5万円 | 6万円超12万円以下:+3万円 | 12万円超:6万円 |
| 所得税・旧契約(計算式Ⅲ) | 2.5万円以下 | 2.5万円超5万円以下:+1.25万円 | 5万円超10万円以下:+2.5万円 | 10万円超:5万円 |
| 住民税・新契約 | 1.2万円以下 | 1.2万円超3.2万円以下:+6,000円 | 3.2万円超5.6万円以下:+1.4万円 | 5.6万円超:2.8万円 |
| 住民税・旧契約 | 1.5万円以下 | 1.5万円超4万円以下:+7,500円 | 4万円超7万円以下:+1.75万円 | 7万円超:3.5万円 |
出典: No.1140 生命保険料控除、No.1145 地震保険料控除、個人住民税(生命保険料・地震保険料控除の計算方法)、令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書の記載例
保険料控除申告書の書き方(2026年分)
申告書は勤務先から配られる様式か、国税庁ホームページの令和8年分様式を使い、その年最後に給与の支払を受ける日の前日までに勤務先へ提出します。生命保険料控除の欄には、保険会社等の名称、保険等の種類、新・旧の区分、支払保険料等の金額などを、保険会社から届く控除証明書を見ながら転記します。保険金等の受取人は本人または配偶者や親族(個人年金保険料は親族を除く)であることが必要です。
2026年分で新しいのは「年齢23歳未満の扶養親族」欄です。一般の生命保険料(新保険料等)があり、23歳未満の扶養親族がいる場合は、その扶養親族の氏名・個人番号・生年月日などを記入し、計算式Ⅱで控除額を求めます。国税庁は、2026年11月30日以前に年末調整を行う場合、裏面の所得要件「62万円以下(給与だけの場合は収入136万円以下)」を「58万円以下(同123万円以下)」に読み替えるよう案内しています。
| 手順 | 記入する内容 | 確認する書類 |
|---|---|---|
| 1 | 所轄税務署長、氏名・住所など | 勤務先の案内 |
| 2 | 生命保険料:契約ごとに会社名・種類・新旧区分・支払額 | 生命保険料控除証明書 |
| 3 | 23歳未満の扶養親族の氏名・個人番号・生年月日(該当者のみ) | 扶養親族の情報 |
| 4 | 区分ごとに計算式Ⅰ〜Ⅲで控除額を求め合計(最高12万円) | 申告書の計算欄 |
| 5 | 地震保険料:地震保険料と旧長期損害保険料を分けて記入(最高5万円) | 地震保険料控除証明書 |
| 6 | 証明書を添付し、最後の給与支払日の前日までに提出 | 旧生命保険料で1契約9,000円以下は添付不要 |
出典: A2-3 給与所得者の保険料控除の申告、令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書の記載例
保険料控除申告書の計算例3パターン(還付額の目安)
所得税の軽減額は「控除額×所得税率×1.021(復興特別所得税)」、住民税の軽減額は「住民税の控除額×10%」で概算できます。所得税率は課税される所得金額が195万円未満で5%、195万円以上330万円未満で10%、330万円以上695万円未満で20%です。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、2026年分の控除は翌年度の住民税に反映されます。
Bは控除額の合計が13.5万円になりますが、所得税の上限12万円で頭打ちになります。住民税も8.4万円が上限7万円に抑えられます。上限を超えて支払った保険料は、税負担の軽減につながりません。表の金額は所得税率を仮定した概算で、実際の軽減額は勤務先が年末調整で年税額を計算して確定します。
| 項目 | A:新契約のみ | B:23歳未満の子あり | C:旧契約+新個人年金 |
|---|---|---|---|
| 年間の支払保険料 | 一般8万円・介護医療5万円 | 一般12万円・介護医療6万円・個人年金10万円 | 旧一般12万円・新個人年金6万円 |
| 所得税の控除額 | 4万円+3.25万円=7.25万円 | 6万円+3.5万円+4万円=13.5万円→12万円 | 5万円+3.5万円=8.5万円 |
| 住民税の控除額 | 2.8万円+2.65万円=5.45万円 | 2.8万円×3=8.4万円→7万円 | 3.5万円+2.8万円=6.3万円 |
| 所得税率(仮定) | 10% | 20% | 5% |
| 所得税の軽減額 | 約7,402円 | 約24,504円 | 約4,339円 |
| 住民税の軽減額 | 5,450円 | 7,000円 | 6,300円 |
出典: No.1140 生命保険料控除、個人住民税(生命保険料・地震保険料控除の計算方法)、No.2260 所得税の税率、個人住民税
保険料控除申告書の注意点と控除証明書の電子データ
控除証明書は書面(ハガキ等)のほか、電子データで受け取ることもできます。国税庁が無償提供する年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)に電子データを取り込むと控除額が自動計算され、申告書データを勤務先に提供できます。マイナポータル連携を使えば、複数の控除証明書等を一度の処理で取得できます。書面の控除証明書を紛失すると保険会社等に再発行を依頼する必要がありますが、電子データならその手間も不要です。勤務先が電子化に対応しているかは事前に確認してください。
年末調整で申告し忘れた場合は、確定申告(還付申告)で控除を受けられます。国税庁によると、e-Taxで提出した還付申告は3週間程度で処理され、確定申告期間中は還付金の支払手続に1か月から1か月半程度かかることがあります。年末調整で申告した場合は、勤務先が年税額を計算し、納め過ぎの差額(過納額)を本人に還付します。
- 支払保険料等は剰余金・割戻金を差し引いた金額で記入する
- 保険期間5年未満の生命保険などには控除対象外のものがある
- 1つの契約で地震保険料と旧長期損害保険料を払う場合はどちらか一方
- 23歳未満の扶養親族の特例は一般生命保険料(新契約)のみ
出典: No.1140 生命保険料控除、No.1145 地震保険料控除、年末調整手続の電子化の概要・メリット、【税金の還付】(確定申告に関するQ&A)、令和8年分年末調整のしかた(手順などの説明)
保険料控除申告書のまとめ
保険料控除申告書は、控除証明書の金額を新旧の区分ごとに転記し、計算式Ⅰ〜Ⅲで控除額を出すのが基本です。2026年分は23歳未満の扶養親族がいる人の一般生命保険料控除が最高6万円に広がった一方、所得税の合計上限12万円、住民税の上限7万円は変わりません。年末調整に間に合わなかった場合も、確定申告で控除を受けられます。計算式の選び方に迷うときは、国税庁の申告書の記載例や年調ソフトの自動計算を参考にしてください。
出典: No.1140 生命保険料控除、個人住民税(生命保険料・地震保険料控除の計算方法)、税制改正等の内容(令和8年分)
よくある質問
Q. 生命保険料控除はいつ戻りますか?
A. 年末調整で申告した場合は、勤務先がその年最後の給与等で年税額を精算し、納め過ぎの差額が還付されます。確定申告の場合、e-Taxの還付申告は3週間程度で処理されます。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、翌年度の住民税が軽減される形で反映されます。
Q. 保険料控除申告書に控除証明書の添付は必要ですか?
A. 生命保険料・地震保険料の控除を受ける場合は、支払金額を証明する書類を1部提出します。ただし旧生命保険料で、剰余金等を差し引いた1契約の金額が9,000円以下のものは不要です。電子データで受け取った控除証明書は、年調ソフトなどで勤務先に提供できます。
Q. 23歳未満の扶養親族がいれば介護医療や個人年金も6万円になりますか?
A. なりません。2026年分の拡充の対象は、新契約に基づく新生命保険料の一般生命保険料控除だけです。介護医療保険料控除と新契約の個人年金保険料控除は最高4万円のままで、3区分の合計上限も12万円で変わりません。
Q. 地震保険料控除の住民税での控除額はいくらですか?
A. 三芳町の案内によると、住民税の地震保険料控除は支払った地震保険料の2分の1で、上限は2万5,000円です。旧長期損害保険料は最高1万円で、両方ある場合の合計上限は2万5,000円です。所得税の上限5万円とは計算方法が異なります。
Q. 保険料控除申告書はいつまでに提出すればいいですか?
A. 国税庁の案内では、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、給与の支払者(勤務先)へ提出します。勤務先が年末調整の準備のために別途提出期限を案内している場合は、その期限に従って早めに提出してください。
出典・参考資料
- No.1140 生命保険料控除(国税庁、2026-10-06閲覧)
- No.1145 地震保険料控除(国税庁、2026-10-06閲覧)
- 個人住民税(生命保険料・地震保険料控除の計算方法)(埼玉県三芳町、2026-10-06閲覧)
- A2-3 給与所得者の保険料控除の申告(国税庁、2026-10-06閲覧)
- 令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書の記載例(国税庁、2026-10-06閲覧)
- 税制改正等の内容(令和8年分)(国税庁、2026-10-06閲覧)
- No.2260 所得税の税率(国税庁、2026-10-06閲覧)
- 個人住民税(総務省、2026-10-06閲覧)
- 年末調整手続の電子化の概要・メリット(国税庁、2026-10-06閲覧)
- 【税金の還付】(確定申告に関するQ&A)(国税庁、2026-10-06閲覧)
- 令和8年分年末調整のしかた(手順などの説明)(国税庁、2026-10-06閲覧)
本記事は制度・商品の一般的な情報を、記載日時点の公的機関・事業者の公開資料に基づいてまとめたものです。税務・年金・保険・投資の個別の判断は、税理士・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー等の専門家、または所管の窓口にご確認ください。金融商品の価値は変動し、元本を割り込むことがあります。











