原油先物価格2026年の推移|1年前・5年前と徹底比較(2026年7月14日時点)

当ページのリンクには広告が含まれています。
原油先物価格2026年の推移|1年前・5年前と徹底比較(2026年7月14日時点) アイキャッチ

2026年7月14日時点(速報ベース)で、WTI原油先物は約79.6ドル/バレル、ブレント原油先物は約84.7ドルと、80ドル台をうかがう水準まで急騰しています。前営業日(7月13日・月曜)の取引でWTIは前週末(7月10日終値:約71.4ドル)から一気に約8ドル・約10%も水準を切り上げ、ブレントも同様に約10%急伸しました。これは2026年の値動きのなかでも最大級の日次上昇率で、6月にいったん剥落したはずの「戦争プレミアム」が一段と強く復活した形です。イランによるホルムズ海峡の「当面閉鎖」宣言と、週末(7月12日)の対イラン攻撃が引き金となりました。本記事は、この急騰を受けた臨時アップデートとして、2026年の年初来推移、直近1週間の値動き、1年前・5年前との比較を交え、原油価格の現在地と今後の見方を整理します。

本記事は地政学ショックを受けた市況スナップショットです。価格は記事公開時点の各種報道・取引所速報をもとにした概算値であり、リアルタイム値や確定値とは差異が生じる場合があります。ドバイ原油、1年前・5年前の比較値は概算・月間平均ベースを含みます。とくに足元は中東情勢を受けて日中の値動きが極めて大きく、掲載値と実際の取引値に数ドル単位の乖離が生じる可能性がある点にご留意ください。最終的な売買判断はご自身の責任でお願いいたします。

目次

1. 2026年7月14日時点の原油先物価格サマリー

原油先物価格3指標比較(2026年7月14日時点)
原油先物価格3指標比較(2026年7月14日時点)

指標 価格(ドル/バレル) 前週末(7/10)比 4月ピーク比
WTI原油先物 約79.6ドル 約+8.2ドル(+約11%) ▲約28ドル(▲26%)
ブレント原油先物 約84.7ドル 約+8.7ドル(+約11%) ▲約43ドル(▲34%)
ドバイ原油(概算) 約82ドル 約+9ドル ▲約45ドル

WTI(West Texas Intermediate)は米国産原油、ブレントは北海産・欧州中東の指標、ドバイは中東渡しのアジア向け指標です。日本輸入する中東産原油はドバイに連動するため、家計・産業への影響を見るうえではドバイ/ブレントの動向が重要になります。今回の急騰局面では、中東供給リスクをより直接に映すブレント・ドバイがWTIを上回るペースで上昇し、WTIとブレントの価格差(スプレッド)は約5ドルへと再び拡大しました。市場の関心は「地政学プレミアムの巻き戻し」から、完全に「中東供給途絶リスクの織り込み」へと転じています。とはいえ4月ピーク(WTI約108ドル、ブレント約128ドル)と比べればなお2〜3割低い水準で、7月3日に付けた年初来の谷(WTI約68.8ドル)からは約11ドル・16%弱の反発です。

2. 2026年年初来の推移:軟調スタート→戦争プレミアムで急騰→平時回帰→急騰再燃

WTI原油先物 2026年年初来の推移(週末終値ベース)
WTI原油先物 2026年年初来の推移(週末終値ベース)

2026年の原油価格は、供給潤沢で軟調に始まった年初から、2月末の中東軍事衝突とホルムズ海峡封鎖を受けた歴史的急騰(ブレント一時128ドル)を経て、6〜7月上旬は停戦進展と海峡再開による平時回帰の局面に入りました。ところが7月中旬、停戦の崩壊で相場は再び急騰に転じています。値動きはおおむね5つの局面に整理できます。

  • 第1局面(1〜2月中旬):供給は潤沢で需要も力強さを欠き、WTIは60ドル前後の軟調なスタート。
  • 第2局面(2月28日〜4月上旬):中東での軍事衝突を発端にホルムズ海峡が事実上封鎖。世界最大級の供給途絶懸念で原油は急騰し、ブレントは4月2日に一時128ドル、WTIも108ドル前後のピークを付けました(2022年以来の高値)。
  • 第3局面(4月〜5月):湾岸産油国の生産停止が続き高止まり。ブレントは5月中旬でも100ドル超と、年初来で大幅高を維持。
  • 第4局面(5月末〜7月上旬):米イランの暫定合意観測と停戦進展、海峡通航の再開で急落。WTIは5月29日の約88.9ドルから7月3日の約68.8ドルへと段階的に水準を切り下げ、供給ショック前の平時水準に戻りました。
  • 第5局面(7月中旬〜現在):停戦崩壊で急騰再燃。7月8日のトランプ大統領「停戦終結」発言、週末の対イラン再攻撃、イランのホルムズ海峡閉鎖宣言を受け、WTIは7月3日の谷(約68.8ドル)から7月13日には一日で約10%急伸して約79ドルへ。「消えたはずの戦争プレミアム」が一段と強く上乗せされ、7月14日にはブレントが約85ドルまで水準を切り上げました。

3. 直近1週間の値動き

WTI原油先物 直近1週間の推移(7月8日〜7月14日)
WTI原油先物 直近1週間の推移(7月8日〜7月14日)

日付 WTI(ドル/バレル) 主要材料
7月8日(水) 約73.5 トランプ大統領が「イランとの停戦は終わった」と表明・再攻撃を警告し+4.4%急騰
7月9日(木) 約72.1 高値警戒とドル高でやや反落
7月10日(金) 約71.4 米イランの技術協議継続観測で下落、週間の安値
7月13日(月) 約79.0 週末の対イラン攻撃とイランのホルムズ海峡閉鎖宣言で一日約+10%の急騰
7月14日(火) 約79.6 高値圏を維持し80ドルをうかがう。ブレントは約85ドルへ

週の前半は71〜73ドル台で、米イラン協議の継続観測から上値の重い展開でした。ところが週末(7月12日)にかけて対イラン攻撃が実施され、イランがホルムズ海峡の「当面閉鎖」を宣言すると、週明けの7月13日にWTIは前週末比で一気に約10%も急騰し、約79ドルへとジャンプしました。これは4月の供給ショック局面以来の大幅な日次上昇です。7月14日も高値圏を維持し、WTIは80ドル台をうかがい、ブレントは約85ドルまで上値を伸ばしています(各日の値は取引所速報・各種報道をもとにした概算)。

4. 1年前・5年前との比較

原油先物価格 1年前・5年前との比較(WTI/ブレント)
原油先物価格 1年前・5年前との比較(WTI/ブレント)

時点 WTI(ドル/バレル) ブレント(ドル/バレル) 当週比
2026年7月(当週) 約79.6 約84.7
2025年7月(1年前・月平均概算) 約67 約70 +約13〜15ドル
2021年7月(5年前・月平均概算) 約72 約74.5 +約8〜10ドル
  • 対1年前(+約19%):2025年7月は需要鈍化で軟調な相場が続いた月で、WTIは60ドル台後半で推移していました。足元はそれを13ドル前後上回っており、この差はまさに直近の地政学プレミアムの急激な再上乗せ分と重なります。1週間前(7月6日時点)は1年前とほぼ同水準まで正常化していましたが、急騰再燃で1年前を大きく上回りました。
  • 対5年前(+約11〜14%):2021年7月はコロナ禍からの需要回復途上で、OPEC+が大規模減産を段階的に縮小していた局面。足元はブレントで10ドル前後、WTIで8ドル前後、当時を上回っています。
  • ポイント:1週間前は「1年前並み・5年前をやや下回る平時水準」でしたが、わずか数日で1年前・5年前をいずれも明確に上回る水準へ切り上がりました。ただし2026年4月のピーク(WTI約108ドル)と比べればなお2〜3割安であり、現在地は「いったん完全に剥落した戦争プレミアムが、再エスカレートで急速かつ大幅に復活した局面」と位置づけられます。

5. 当週の主な材料

強気材料(買い材料)

  • イランによるホルムズ海峡の「当面閉鎖」宣言(世界の石油・ガス貿易の約2割が通過する要衝。米中央軍は全面封鎖を否定するも、通航に混乱)
  • 週末(7月12日)の対イラン攻撃と報復の応酬による中東情勢の一段の緊迫化
  • 米イラン停戦の崩壊(7月8日にトランプ大統領が「停戦は終わった」と表明、再攻撃を警告)
  • 米国によるイラン産原油の販売ライセンス取り消しで、イラン産の合法的な市場流通が制約され物理的な供給減が意識されること
  • OECD在庫の低水準が続き、供給途絶時の緩衝余地が小さいこと

弱気材料(売り材料)

  • OPEC+の増産継続(8月分として日量18.8万バレルの追加増産を決定、5カ月連続の増産)と潤沢な供給余力
  • 米イランの技術・和平協議が完全には途絶しておらず、外交解決の余地が残ること
  • 世界需要の鈍化(OPECは2026年の需要見通しを複数回にわたり下方修正
  • ドル高・円安ドル円162円前後)がドル建て商品の上値を一定程度抑制
  • 現時点でホルムズ海峡の「全面封鎖」は確認されておらず、実際の通航が続いていること(プレミアムの一部は思惑先行)

6. 焦点:ホルムズ海峡の実効的封鎖リスク

わずか1週間前まで「地政学から需給ファンダメンタルズへ主導権が移った」とされていた原油相場は、7月中旬に地政学が完全に前面へ復帰し、一日約10%という急騰につながりました。当面の焦点は次の3点です。

  • ホルムズ海峡の実効的な通航状況:世界の石油・ガス貿易の約2割が通過する要衝で、イランは「当面の閉鎖」を宣言。米中央軍はこれを否定していますが、実際に通航がどこまで制約されるかが最大の価格材料です。全面封鎖が現実化すれば、4月に見た100ドル超への再急騰もありえます。
  • 米イラン対立のエスカレーションと外交:攻撃と報復の応酬が続く一方、技術・和平協議は完全には途絶していません。停戦復元に向けた動きが出れば、今回積み上がったプレミアムは再び急速に剥落する可能性があります。
  • 需給ファンダメンタルズの下押し圧力:OPEC+は5カ月連続で増産を積み上げ、供給側は潤沢。需要見通しも下方修正が続いており、地政学が落ち着けば「供給潤沢・需要鈍化」という本来の弱気地合いに引き戻される構図です。

現在の相場は「地政学プレミアムの大幅な再上乗せ」と「潤沢な需給ファンダメンタルズ」の綱引きにあります。ヘッドラインひとつで数ドル単位で上下しやすい局面であり、値動きの振れ幅が極めて大きくなっている点に注意が必要です。

7. 今後1〜2週間の見方

メイシナリオ:WTIは75〜85ドルのレンジを意識した、地政学ヘッドラインに強く振らされる不安定な推移。ホルムズ海峡の通航が大きく損なわれなければ、増産と需要鈍化が徐々に上値を抑え、70ドル台後半へ落ち着く展開も想定されます。一方で緊張が一段と激化すれば、4月に迫る100ドル超への再急騰リスクもくすぶります。

上方リスク
– ホルムズ海峡の実効的な封鎖・通航の大幅な制約
– 米イラン対立の一段の激化、湾岸産油国の生産・輸出施設への波及
– 中東からの供給途絶が現実化し、在庫の低水準が意識される展開
– 原油高を嫌気したリスク回避と、産油国側の報復的な減産姿勢

下方リスク
– 米イランの停戦復元・外交進展によるプレミアムの再剥落
– ホルムズ海峡の通航が実際には維持されることの確認
– OPEC+のさらなる増産と実際の供給増の加速
– 中国・世界需要見通しの一段の下方修正、ドル高の進行

注目イベント:ホルムズ海峡と米イラン情勢に関する報道、毎週水曜の米EIA在庫統計、月次のOPEC/IEA需給見通し、OPEC+の増産方針、ドル円の動向。

8. 日本経済・家計への影響

レギュラーガソリンの全国平均は7月6日調査時点で1リットル169.9円前後(資源エネルギー庁/石油情報センター、前週比+0.1円)で推移しています。6〜7月上旬の原油安が小売価格に本格的に波及する前に、今回の急騰が重なった格好です。原油価格の店頭への波及には数週間のラグがあるため、足元の急伸が続けば、夏場にかけて再び明確な値上がり圧力が強まる可能性があります。政府の燃料油価格激変緩和(定額補助、足元は縮小方向)が価格の下支え要因として残ります。

ドル円は162円前後と歴史的な円安水準が続いており、ドル建て原油の変動は円換算で増幅されやすい状況です。円換算の原油コストは、ドル建ての急騰に円安が重なることで一段と重くなりやすく、原油高局面では家計・企業のコスト負担が拡大しやすい構図です。

電気・ガス料金は燃料費調整制度のラグ(おおむね3カ月遅れ)で反映されるため、今回の原油急騰が家計の電気・ガス代に表れるとしても秋以降となります。逆に言えば、6〜7月上旬の原油安の恩恵はこれから一部反映される見込みで、当面は「原油安の遅れた恩恵」と「原油急騰の新たな重し」が交錯する展開が予想されます。中東情勢の帰趨が、日本の家計の負担感を左右する最大の変数となります。

9. まとめ

  • 2026年7月14日時点(速報ベース)のWTIは約79.6ドル、ブレントは約84.7ドルで、80ドル台をうかがう水準まで急騰。前営業日(7月13日)にはWTI・ブレントとも一日約10%急伸し、前週末(7月10日:WTI約71.4ドル)比では約11%高。
  • 週末の対イラン攻撃とイランのホルムズ海峡閉鎖宣言を受け、6月にいったん剥落した「戦争プレミアム」が一段と強く復活。2026年の相場は「軟調→急騰→平時回帰→急騰再燃」という第5局面に入り、7月3日の年初来の谷(約68.8ドル)からは約16%の反発。
  • 1週間前は1年前並み・5年前をやや下回る平時水準だったが、急騰再燃で1年前(2025年7月)・5年前(2021年7月)をいずれも明確に上回る水準へ。ただし4月ピーク(WTI約108ドル)比ではなお2〜3割安。
  • 焦点はホルムズ海峡の実効的な通航状況と米イラン外交。全面封鎖が現実化すれば100ドル超への再急騰リスク、停戦復元ならプレミアムの再剥落。今後1〜2週間はWTI75〜85ドルの不安定なレンジを想定。
  • 日本のガソリンは169.9円前後。原油安の遅れた恩恵と、原油急騰の新たな重しが交錯。162円前後の円安が原油高の負担を増幅しやすい。

10. 更新履歴

  • 第1稿投稿 2026年7月14日(ホルムズ海峡緊張の再燃・原油急騰を受けた臨時レポート)

関連記事

※本記事に掲載している情報は、中立的な立場からの情報提供を目的としたものです。掲載している商品・サービスの購入や利用を推奨・強制するものではありません。投資には価格変動リスクが伴い、元本割れが生じる可能性があります。過去の運用実績やシュミレーション結果は、将来の運用成果を保証するものではありません。また、情報の正確性・最新性には十分配慮しておりますが、 内容の完全性や将来の結果を保証するものではありません。最終的な投資判断は、読者ご自身の判断と責任において行っていただくようお願いいたします。本記事の情報を利用したことによって生じたいかなる損害についても、当サイトでは一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

マネジ局長は、「お金の大辞典」全体を統括する監修者です。

編集者であるマネ辞くんが収集・整理した金融・投資・税制データについて、制度の前提条件やリスク、誤解が生じやすい点がないかをチェックし、「この情報をどう受け取るべきか」という判断軸を補足します。

特定の商品やサービスをすすめる役割ではなく、読者が冷静に考えるためのブレーキ役として設計されています。

お金の判断は急がず、理解してから選ぶ。
それがマネ辞局長の基本スタンスです。

目次